出版としての本

古本屋になると新刊本を買わなくなるようですが、私の場合は以前と変わらず気になる本があると購入しています。書店の限界として棚の絶対量が限られていますので、常に注意して動かない本を返品しなければなりません。書店の仕事は返本のチェックだと言われるのですが、忘れるとその本を買い取らなければならなくなります。利幅の薄い書店で売れない本を抱えていることは経営に響きます。送られてくる本の箱の中身を見ないで返本するなどと言う話も聞きます。古本屋は不要な本を安く引き取ってそれなりの値段で売っていますので、商売上手な店はいかに安く買い取りをするか、どれだけ高く売るかということを考えますので、新刊の本を買うことなど考えられなくなっていくのでしょう。

さて本を作る側の出版に関する本も興味を持っています。小出版の本も含めて一人で本を出している人を紹介しているのが「ひとり出版社という働きかた」という本です。ここには10人の人の働きかたが出てきます。男女それぞれ5人が何故一人で出版社を立ち上げたのかを語っています。キャリアのある人ない人、都会で地方で、分野の違う本をそれぞれ出し続けているのですが、やはり本を出したいというそれぞれの想いが伝わってきます。本をつくる人の気持ちと本を売る人の気持ちがうまくつながって、今この出版社から出されている本を置いている店が少しずつ増えているようです。いいことです。