古本屋の良心

 色々な店を見ていると店主によってやはり店の特徴が出ていて入りにくい店や本を買う気にならない店も当然のようにある。商売にしているのだからもう少し普通に接客してもらいたいなどと思ってしまう所もある。声をかけるのも躊躇われるような雰囲気を醸し出している所ではやはり本を買いにくい。それでよしとしているのなら仕方ないのだが、客としての自分はどうなのだろうと振り返ってしまったりする。秋は色々なイベントが多く、先日は折角頼んでチケットを入手したコンサートをすっかり忘れてしまい翌日に気がついた。これも仕方ない。少し落ち着いた生活を心がけなくてはならないと反省した。

 秋の恒例のイベントである神田古本まつりに行かなかった。やはり少し遠いので面倒くさいというのと本の数が多すぎるので疲れてしまうのである。合わせて様々なイベント企画があるのでこちらも疲れてしまうのだ。これは加齢によるものかも知れない。神田には本はいっぱいあるから、いつでもいける時に行けばいいと思ってしまう。またこの時期にはあちこちで本の即売会やイベントも多く開催されるので、そんなにあちこち行っても仕方ないということになる。

 そこで電車一本でいける池袋の西口公園で行われていた古本市に行ってみた。結構新しい店が参加しており、それなりに賑わっていた。時間をかけて各テントを見て回り、何冊かの本を購入することができた。ただ一つだけ残念なことがあり、帰りの車内は暗い気分で帰ってきた。古本購入の清算は各テントごとに行われていて、それぞれの店が会計を担当しているようだった。古い文庫本を何冊か購入した際にそこにいた店番の若い人は値札を思い切り破って取ったものだからページの一部まで切り取って破れてしまったのである。別の本はページそのものが2ページに渡って切り取られてしまっていた。後で気がついたものだったので仕方ないと思ったが、破れた本を売っているのではなく本を破いて売るということになる訳でこれはいくらなんでも酷いのではないかと思った。破れてしまいましたと言う訳でもなく隠すように袋に詰め込んでしまう、破れても古本だから構わないというのならなおさらである。実は本のカバーを破ったり、帯を切ってしまったりということを売る側で結構やってしまう場面を見ている。高い本なら決してそんなことはしないだろう。でも本の価値は売る側だけで勝手に決めるものでもないと思うし、本が好きで仕事をしているのならもっと大切に取り扱って欲しいと思う。ただ売れればいいという商売をしているのならこれも仕方ないことだ。