捨てても溜まるもの

 趣味の古本屋とは言っても商売でやっていると本は仕入れていかないとすぐに在庫が底をついてしまうだろうということになる。それをいい口実に好きな本を買っていたら当初の思惑とは別に本が増えているという現実になった。もう年齢的にも蔵書を処分して残された時間で好きな本を読みながら終わろうと思い、在庫の放出方法として古本屋を考えたのだ。ただ売るだけでは本は少なくなって売るものが無くなるだろうからと古物商の資格を取り、蔵書処分に困っている人たちからの買い取りもしていこうと考えていた。その方が要らなくなった本が少しずつ回転して読まれていくし、そのうち本も無くなって上手く終了と言うことになると思っていた。でも実際はそうはならなかった。

 本は溜まるものだったのだ。ということは新刊本や古本をそれなりに買っている事になる。ある程度増えたら適当に処分しているのだが、それでも少しずつ増えているような気がする。最近は買い取りも多くなってきた。皆さん結構家に本をため込んでいてそれなりに処分に困っているらしい。あまり高くは買えないがそれでもいいと言う人は本を置いていくので増えていくのだ。加えて新刊本もやはり気になるものは買っているし、色々な店を見ているうちにやはり目につく本は買ってしまう。これではどうしようもないので読む量を増やしている。読んで面白かったものは店で売り、つまらないと感じたものは処分してしまう。以前にはトラックで来て貰い持って行って貰ったが、増殖している本の勢いは止まらないのであまり変化は見られなかった。新刊書店の主な仕事は返本作業だと聞いたが、古本屋の主な仕事は本の処分ということになる。それをしないと売れない在庫を抱えて閉店と言うことになるのだろう。これは恐ろしいことで自分が死んだ後のことまで考えなくてはならなくなってきた。当初に思っていたことが再び現実の問題になってきてしまったということになるのか。