懲りない人々

 堀川恵子著「原爆供養塔」を読んだ。読後にかなりずっしりと重みを感じる一冊である。参加している読書会で耳にして、調べてみたらまだ新刊だったことから実際に購入するまで時間がかかった。古本で出てこないかなと思ったのだがなかなか出てきそうもないので新刊で買って読むことにしたが、読み始めるまで随分後回しになってしまった。読んでいる時間は速かった。貴重な写真も掲載されており、よく調べて描かれていると思った。副題は「忘れられた遺骨の70年」、帯には「はじめて明かされるもう一つのヒロシマの物語、氏名や住所がわかっていながらなぜ無縁仏とされたのか、引き取り手なき遺骨の謎をたどる」とある。これでおおよその内容は理解できるのではないかと思うので、興味のある人は読んでもらいたいと思う。

 日本に原爆が二基も投下され、一瞬にして多くの生命が奪われたということだけではなく、色々な事実がわかってくる。戦争による被爆国としても、戦争に加担したことも、もっと発言していかなくてはいけないのではないかと思う。チェルノブイリ原発事故が起こった後で色々な反対運動があり、私も食料品の放射能測定運動をしばらくやっていた。しかしいつの間にか会員の姿が見えなくなり、その運動も終わってしまった。最後は、日本の原発が事故でも起こさない限りみんな本気になることはないだろうという言葉を聞いた。その後、現在では原発の数は倍増している。東日本大震災の際にも行方が分からない多くの人がいた。津波により福島原発は爆発事故を起こし、テレビで放映されたその映像を何度も見た。私の家族の実家も津波で流されてしまい、子供が小さい頃は毎年遊びに行った海辺の家はもう無い。避難した人達が身近な所にもいるし、その支援をしてきた人たちも多くいる筈である。色々なことを経験した筈なのに、こうして同じことを繰り返してしまうのだな。