映画の時間

  自宅にあったCDやビデオなどを整理して処分してしまった。売れるものは売ってとも考えたが面倒くさいのでごみに出してしまった。保存しておかないと困るものもあったのかも知れないがもうどうしようもない。ビデオはVHSで今や見ることもできなくなっていたのでどうしようもない。一つだけもう一度見ようと残したがプレーヤーが無いので借りてみようとしたら映らない。よく見たらカビがついていたので結局捨ててしまった。しかし、やはり見てみたいと思いアマゾンで購入したら結構安い価格で手に入ったので、もう一度プレーヤーを借りなくてはならない。

 作品はジャックレモン主演の映画だが、見たいのは中に挿入されているアニメの部分だけである。その部分だけをDVDにコピーできないかと写真店に頼んだのだがコピー禁止商品なのでと断られたのだ。ビデオは古い作品で1972年に制作されたものだ。当時は静岡県にいて仕事をさぼってこの映画を見た記憶がある。ジャックレモンの「おかしな関係」シリーズなのでラブコメデイ作品である。主人公は漫画家で子持ちの女性に恋をするが、別れた筈の夫が出てきて三角関係になる。しかし、その夫は報道カメラマンとしてベトナム戦争で死んでしまう。残された小さな女の子にジャックレモン扮する漫画家が自分の作ったアニメを見せるシーンがある。私が見たいのはこのアニメの部分なのである。そのアニメ作品はそんなに長いものではないが何故か記憶に残っていて、当時このビデオを購入したのだ。何度か見たのだがもう一度見て確認したいと思っている。

 女の子は戦争で父親を亡くして悲しんでいる。ジャックレモンが自分の作ったアニメを見せる。女の子は見た後で「わかったような気がするわ」と言う。時代を感じる作品である。アニメの内容を紹介する。「昔ある所に男と女がいた。二人は結婚して家庭をつくる。町が出来て社会が出来る。やがて戦争が起こり、誰もいなくなってしまった。でも男と女が生き残る。また町が出来て、戦争が起こり誰もいなくなってしまった。でも男と女が生き残った。」こんな感じだったような気がするのだがよく覚えていない。別に何かが問題だと言うことではなくただ懐かしいだけなのだが、この内容は「風の谷のナウシカ」という作品のラストシーンとイメージがダブってくる。また先日来日した南米ウルグアイのホセ・ムヒカ前大統領の言葉にもダブってくるような気がするのだ。氏は「実際に日本人を見てどう思いますか」という質問に対して、「高齢者は孤独に見え、若者には夢が無いように見えた。幸せな人もいたし、そうでない人もいた。それは目を見ればわかる」と答えた。映画は娯楽作品だし、ムヒカ氏の言葉は特別なことを言っている訳でもない。ただ私の残された時間はこういったことに使いたいと思っている。