情報の海に溺れない

 不忍ブックストリートは新しい店が出来てますます面白い街になっているようだ。5月の連休が店休日と重なっているので、そこで行われた一箱古本市に初めて出かけてみた。あいにくと天気が良くてものすごい人で賑わっており、歩くのにも苦労する状態だった。これほど混んでいるとは思わなかった。おまけに暑いので人出を避けて路地を抜けようとあちこち歩いていたからすっかり疲れてしまった。皆さん手にブックストリートの地図を持っており、スタンプラリーもやっているようだった。

 まず以前にも行ったことのある古書店に寄ると、ここも店内が人でいっぱいですれ違うのも大変な状態だ。本を買い地図を貰って出る。路地に入って地図を見るがどこでやっているのかよくわからないので適当に歩いてみた。何となく人が群がっている所に段ボールに本を入れた店が出ており、お客さんは覗きこむこともなく周りに立っている。私は目が悪いので近づいて覗きこむしかないのだが、けっこう突っ立っている人が邪魔になるのでさっと終わりにするしかない。でも結局どこの箱もあまり欲しい本は無かったというのが感想で、雰囲気を楽しめばいいのかなと思う。

 知っている古書店に入ってもやはり人が多くてゆっくりと本を選んでいる余裕はない。そんな状態なので調べてきていた新しくオープンしたという店を見に行くことにした。日暮里から、谷中、千駄木、根津、上野まで、休日に観光地を歩くのは疲れるだけだ。と言うことで肝心の本はほとんど買っていない。

 いくつか感じたことがある。これは当然予想できたことであるが若い人が多い。そしてあまり本は買わないようである。お喋りを楽しみ、色々な人との出会いを楽しんでいるのかもしれない。ここの所、新しく出来た店を見に行っているが、やはり若い人が多く見られるのが特徴的である。お洒落な店づくりで本だけではなく雑貨を置いたりしている。ただ気になることが一つある。今はネットで色々な情報がすぐに入手できる。そのせいなのかどうかどこの店も同じような本が並んでいるような気がする。なんでこんな本を置いているんだろうと思う本もあるし、この本がこの値段なのかと疑問を感じることもある。もともと本の価値は自分にはよくわからない部分もあるが、商売でやっているとこういう本が売れるのかと感心するばかりである。