介護の現実

 テレビなどで見聞きする介護生活の現場は大変な状況で、介護疲れから殺人事件に発展するケースも起こっている。これから何年も続くだろう高齢者が人口比で増えていく時代を考えると、社会全体で取り組まなくてはいけない課題であると思う。さまざまなケースが出てくるだろうと思われるが自分に介護するということが出来るだろうかと考えてしまう。身近な例で言えば、家族が入院したり、自宅で療養したりということはあったが、短期間でもかなりストレスを感じてしまった。実は将来的なことを視野に入れてホームヘルパーの資格を取得しているのだが、それでも実務は色々な状況が起こり、戸惑ったりイライラすることがあると身内だからつい相手を怒ってしまうことが多くなる。

 この本は、定年後に両親の介護を始めてからの日記のような本である。元編集者と言うことからか難しい内容はなく読みやすい上に母親を看取った経過や葬式の費用なども含めて赤裸々に描かれている。自分自身の生活も飾ることなく淡々と描きだし、これからの様子も何となく理解できるような気がする。71歳で100歳の父親の面倒をみることが日々の生活であるということが今の現実なんだと実感する。「介護はつらいよ」大島一洋(小学館)