待つだけ

 店にはコミック関係の本は出していないのだが、結構買って読んでいるし在庫もある。古い雑誌や単行本、珍しい同人誌、漫画評論の類まで揃っている。若い頃には漫画研究会に入って自分でも描いていたからなかなか読むのがやめられないのだ。溜まる本の中にはこの手のものが多いので時々中野ブロードウエイに送っている。それでもまだまだ段ボールが増えているような気がする。最近の本で気になっているのは以前にも紹介した神村篤氏だが、もう一人読み続けている作家として一ノ関圭氏がいる。デビュー当時から読んでいるが寡作なのでなかなか新作を読むことが出来ない。絵も上手いし、物語も丁寧で時代考証もしっかりしているのでまだまだ読みたいと思っているが、作品数が少ないのが残念だ。でも白土三平氏もそうだがしっかりとしたストーリーをつくるのには時間がかかるし、高齢化していくのは避けられないし、と言うことで時間との競争になる。これは読む側でも同様のことがある。それはそこまでのことだからと待つしかないのか。「鼻紙写楽」一ノ関圭(小学館)