またまた本の本を読む

 お客さんからの紹介で面白そうなので買ってみたが、相変わらず本の周辺について書かれた本が出されているのはやはり売れているからなのだろう。ついつい買ってしまうのは店をやっているからと言うよりも本についての関連本がそれなりに面白いからである。今回は九州で行われたイベントの記録集のようなものである。二日間に渡って開催された車座トークに参加しているのは、書店、出版社、取次会社で、それぞれ大手と中小の複数の立場から参加している。加えて外国に視察研修に行って来た報告もされている。

 業界の暴露話というか言わば延々と本に関する話を本音でしているので、本についての現状から問題点まで実に分かりやすい。15年前と10年前に本の世界は変化している。当事者がどのように考えて仕事をしているのか、何が問題なのか、結局どうすればいいのか、そして何故それが出来ないのか、出来るのかが理解できると思う。それにしても二日間もよく話し続けたもので、それでもまだ足りない部分があると感じるほど現代の本屋や本の周辺は危機感に溢れている。この中にはそのための生き残るヒントが多く詰まっているように思える。

 本の好きな人は本屋が無くなったら困ると思うかも知れないが、本も新聞も読まない人にとってはそれほど影響ないかも知れない。本は借りても読めるし、ネットでも買える。ただ現実にそうなったらどうだろうか。私がいま心配しているのは、出版社がいまのような感じで本を出していたら将来古本屋で売る本が無くなってしまうのではないかと言うことである。いま古本屋では昔の本を売っているからまだその価値があるように思うが、売れない本をつくり続けていると将来売れる本が無くなってしまうのではないかと言うことである。

 内容に比較して値段が安い、見開きページに使われている注釈がそのまま読めるのは有難い。「本屋がなくなったら困るじゃないか」ブックオカ編(西日本新聞社)