古本屋の周辺から

 秋はイベントの多い季節で古本市などの催事も多い。以前に近くで行われたイベントに古本を持って出かけたこともあるが最近は遠慮している。店を出すより買う方が楽しくなってしまうと言うことと、苦労して店を構えているのでそこでのんびりとやっていきたいと言う思いもある。最近は一箱古本市と言うものがあちこちで開催されるようになって、業者以外の若い人達の参加で盛り上がっているようだ。定期的に行われる古本市も新たに開催される所も出てきて、何だか古本の世界が注目されているような気がする。しかし、色々な場面で聞くのは古本を含めて本が売れないという話ばかりなのだ。インターネットでも最近は本ではなく紙物類、グッズ類の出品が多いように思う。昔から続いている古本屋でもインターネット販売との兼売をしているし、仕入れるものも雑貨などが増えている。久しぶりに行く店などで店内がそんな雰囲気になっていると戸惑うこともある。何だか頑張っているというか大変な状況なのだなと感じる。

 一箱古本市については本なども出されていて何回か見学に行ってみたが、若い人達が多く参加していてとても賑わっている雰囲気だった。ただ基本的には一箱での参加なので、本を買うというよりはそこでのおしゃべりや情報交換を中心とした楽しい時間を共有する場という気がした。本のフリーマーケット的なイベントだとしても、本に興味を持ち楽しく語り合ってゲストトークもあれば充実した一日が過ごせるのではないか。個人的意見としては本を買いに行くので、その場に求めるものはどんな本があるのかじっくりと眺めて気に行った本があれば買うということだけである。

 この何年かで色々な古本屋を見て回った。どちらかというと普通の店よりもちょっと変わった店を探して歩いた。できれば邪魔にならない範囲で話もきかせてもらい、参考にさせて貰うことにした。新しく開店した所はやはり若い人が多く、共通するのはセレクトショップ的な棚づくりと雑貨やカフェ、ギャラリーなど本以外の要素を加えた店、そしてイベントの開催や参加である。インターネットだけで本を売っていた人が実店舗を持つ場合も出てきている。やはり店が本の居場所としてひつようであり、何となくコミュニケーションの場ともなるのかもしれない。何故か同じ本がどの店にも並んでいるということがあった。これがどういう現象なのかということは推測できる。

 高齢化した昔ながらの店は閉店するかインターネットで食いつなぐかという選択をしているようだ。古本市に参加する店もある程度顔ぶれが固定化していて、こちらもインターネットとの兼売である。昔は催事にも出たが今はインターネットと店売でやっているという所が多いのかもしれない。イベントへの参加は結構忙しくて大変という様子が覗える。そして総体的にこれらが落ち込んできているという状況なのではないかと思う。個人的な実体験の感想と今後のことを考えると自分の行く末はどうなるのか。商売でやるなら立地条件を優先して考えなくてはならない。趣味的にやるなら僻地でインターネットということもある。年齢のことも考慮して、さてどうしようか。