引きずられて

 店のお客さんがカフェを開店したので休みを合わせて様子を見にいった。まだ若い人なのでなかなかセンスのいいお洒落な店でお客さんも結構入っていた。自分を振り返ってみても、やはり自分の住んでいる所で店をやると言うのが一番良いのではないかと思う。まだ子育てもあるので少しでも一緒にいられる環境というのは大切かも知れない。頑張って続けて貰いたいと思う。何しろ私が店を始めてから、この周辺で知り合いになった店がいくつも閉店しているので心配になってしまう。まあ自分の所が一番心配なのだが。

 折角なので店で売っていた本を買ってきた。先日買った雑誌にこの人の文が載っていて面白く読んでいたからだ。しかし、これは大変だった。大体があまり読むのは速い方ではないのだが、途中で疲れてしまって続けて読むことが出来なかった。筆者は子育ての日記のようなものをブログに書き綴っている。それを本にまとめているのだ。赤裸々に描かれているのが若い世代に評判が良いらしい。でも他人に読まれるものなので自分の全部が書かれている訳ではないだろう。そして、これが結構辛いものだったのだ。自分も若い頃に子育てを経験しており、まるで子供が子供を育てているような感じだったと思う。貧しかったが辛いとか苦しいという記憶はない。でも他人から見たらきっと可哀そうな夫婦だったのかもしれない。結構色々な人に助けられたような憶えがある。それを思い出して何だか悲しくなってしまったのだ。感受性が強いのだろうか、読後にすっかり体調を崩してしまった。

 筆者のパワーはすごいもので、子育てをしながら仕事をして、社会活動にも趣味の活動にも積極的だ。その勢いで不倫も経験、落ち込みながらもとにかく前に進もうとしている。そのパワーに圧倒されて腰が引けてしまう。「かなわない」植本一子(タバブックス)