整理して処分する

 昔作成した古いカセットテープで懐かしい音楽を聞いている事が多い。定年後にこれらの音楽を聞きながら暮らすということを想定して一生懸命録音しては保存しておいたものだ。しかし、最近は音楽を聞くことが無くなってしまった。店でBGMとして音楽を流すのも良いかもしれないと思っていた。事実当初はそんなこともしていたが、すぐに飽きてしまったのと東北で大きな地震が起こった時にラジオに切り替えてしまった。ニュースはすぐ伝えてくれるからだ。それもつまらない番組が多いので今はほとんど聞かなくなってしまった。

 最近これらの昔の音楽テープを聞いているのは整理するためである。聞いてほとんどは捨ててしまう。あんなに一生懸命録音したのにほとんど聞くことがないからだ。すでに映画などのビデオテープは捨ててしまったし、CDは店で売ってしまった。収集したスクラップなども捨てて、持っていた本は店で売っている。だんだんと自分の持ち物は少なくなっている。不思議なもので捨てて惜しいとか思わなくなっている。もう少しだ。

 整理すると言うことは自分の脳が記憶できる範囲で体験してみると言うことで何も残らなければそれまでのことと諦めている。どうしても必要なことはメモにしているが、それも必ず保存できている訳ではないのでそのうち自分の記憶メモリーから無くなってしまったらそこまでだ。若い頃にローンを組んで購入した平凡社の百科事典は家族が捨てたくないと言うのであちこち引っ越した時も常に持ち歩いてきた。重い段ボールは最後にはそこから出されることもなく押入れの隅で眠っていた。それもやっと捨てることになった。それで良い。

 の棚に漫画は並んでいない。並べる棚が無いのとどう処分しようかと考えていたからである。最近それも少しずつ整理し始めている。貴重な資料価値のあるものもあるかもしれないが、これも始めたら結構進んでいる。反面で新刊本も読みたいものは買って読んでいる。いまではそれも読み終えたら売ってしまう。貸本漫画は最後の段階で経験している。まだ近くに店が残っており、貸し出していた。何回かは借りて読んだことがあるが、そのうちに店が潰れてしまった。あの本を売ってもらっていれば今では高く売れたのだろうか。買っていた人もいたようだ。この本にはその歴史的な背景として戦後の社会状況も多く書かれている。懐かしく思うと同時に今とそんなに変わっていないとも思う。「貸本マンガと戦後の風景」高野慎三(論創社)