図書館見学

 また新刊本を読んでいる。一人出版社の本は何冊も読んだが、この出版社の本はすでに何冊か読んでいる。古本でもあまり安くなっていないので新刊で購入している。基本は名著の復刻という路線なので知らなかった人の作品を読むようにしているが、どうしても価格が高いので全部読む訳にはいかない。内容が図書館の話なので気になっていて、見かけたので買ってしまった。私はあまり図書館で本を借りて読むことはないのだが、小さい頃には図書館が居場所として好きだったのを覚えている。知り合いが図書館で働いていたり、自分の家で家庭文庫などをしていたりしていたので内容について興味を持っていた。

 移動図書館から始まって理想の図書館を作り上げるまでの記録でもある。背景として多少政治的な動きも現れるが社会教育としての実践記録である。好きなことに情熱的に関わっていく中では、あまり苦労したという部分が出てこないのが気になる所ではある。最後には市の助役にまでなってしまうのでかなり力量のある人なんだろうなと思う。読書は文化運動なのだと改めて感じる。夏葉社としてもそういう運動をしている事になるのだろう。一か所編集ミスを見つけた。

 地元にも図書館が当然あり、何回か行ったがどうしても馴染めなかった。まず靴を脱がなくてはならないのが面倒だし、そこに椅子も手摺りも無くてどうも年寄りには勝手が悪い。本も借りたいものが無くて何ともお粗末という気がした。店のある東松山市では三階建ての立派な図書館があるが、かなり老朽化しており、やはり予算が少ないのだろうと想像できる。先日はお客さんに勧められて小川町の図書館を見学してきた。駅に近い所に突然出てきて驚いたがなかなか内容のある施設だった。これが近くにあればもっと利用するかも知れないと思う。いま図書館は民間委託が多くなってきている。指定管理者がどこになるのかでかなり内容が変わってくる。県立の図書館も閉館してしまうし、地方自治体には図書館や公民館はもう必要ないということなのだろうか。その代わりに巨額をかけて大きな文化施設を造ることになって、将来的には維持費も含めて住民負担が増えるだけになるだけだと思うが。「移動図書館ひまわり号」前川恒雄(夏葉社)