本当に良いのか

 久しぶりに東京に出かけた。最近はお洒落な古本屋が出来ているのでもっと色々な店を見て回りたいと思っているのだが、あまり遠くへ行くと帰ってくるのが大変なのでなるべく近い所までにした。値段が高い店、本がきれいな店、様々な雑貨類を置いている店、カフェやバーを兼ねている店、古い貴重本を置いている店、色々な店が出来ていると感心してしまう。イベントで楽しく本を売っている所もあるし、ネットでしっかり商売している所もある。そんなお洒落な店を紹介している本も出ている。何だか古本屋ブームが来ているような感じである。でもこれが心配なのだ。本当に本が好きで読んでいるのか、こういう棚づくりで良いのか、本当に楽しんでいるのか、そんな気になってしまう時もある。余計な心配をしているのかも知れないが、最近これでいいのかと思うことがある。全部がそうだとは言えないが、限界点を見たような部分もあり、ここからしばらくするとこうなるのかも知れないと多少心配している。

 今度はこんな本が出た。「本が好きだから本で暮らすことを選んだ女性たち」というのが帯文である。全国のちょっと変わった、本に関わることを仕事にしている女の人を紹介した本である。裏表紙には「本を読んでいる人がいて、何となく安心できる場所がつくれたら良いなって」とある。人に優しい社会を理想にするのは悪い話ではないし、優しさに触れたいというのは本当にそう思う。確かに社会は弱肉強食時代に突入し、障害者や老人など社会的弱者には冷たい気がするが、何だか大切な部分でスル―しているような気もする。時間が経過すればまた変わってくるのかもしれない。時代の振子はもう転換地点まで振れたのだろうか。「本の時間を届けます」(洋泉社)