情報のワナワナ

 もうすでに本の世界は「騎士団長殺し」の話題に入っているのだろうが、やっと芥川賞を受賞した「しんせかい」を読み終わった。合わせて「文学界」の芥川賞特集を読んでみた。こちらには「スクラップ・ビルド」の羽田圭介氏と「コンビニ人間」の村田沙耶香氏の対談、「火花」の又吉直樹氏の第二作についての文、「しんせかい」の山下澄人氏のインタビューなどが掲載されている。久しぶりなのか初めてなのかという位に買った。芥川賞受賞作品は前回同様に雑誌「文芸春秋」で読んだのだが、もうすでに書店の店頭には受賞作品が単行本となり一緒に並んでいた。しかし、受賞作とは言っても昔ほど売れると言うことではないのかも知れない。書店には何日も平積みされている。その反面、書店には探している本が相変わらず在庫なしという状態であり、書店側も大変だろうなと思う。村上春樹氏の新刊本もかなり平積みされ、すでに古本でも販売されている。こういう無自覚な本を巡る状態は何とかしてほしいと本当に思う。

 山下澄人氏の作品は「しんせかい」が初めてなので、他の作品との比較が出来ない。随分と読みやすいので読み始めたらすぐに読み終えてしまった。内容もすんなりと入ってきてそのまま出て行ってしまった。何も残らないという訳ではないが、テレビの青春ドラマを見ているような印象だった。インタビューなどを読むと他の作品はかなり難解なものらしい。読みやすいものが受賞したという結果のようだ。倉本聡氏の富良野塾に在籍した時のことを書いたということで話題になっているので想像して貰えるのではないか。以前には受賞作品はあまり読まなかったが、ここ何回か読んでみた。芥川賞は年二回選考されるのだと言う。一回で良いのではないかと思うが本が売れないからなのだろうか。そのせいなのかはわからないが、隣の子供が芸能人になったように随分と身近になったような気がする。