本の本、新しい本屋

 再度本の本を読んでいる。次々と本が出されているからつい読んでしまう。最近の状況を考えて古本屋が流行しているのかと思っていたが、それだけではなく新刊を扱う本屋も増えてきているのだ。紹介されているいくつかの店には見学に行ってみたが、確かに本屋であることには間違いない。古本と新刊本を置いている店、本とカフェや酒屋を併設している店、ギャラリーがあり、イベントを開催している店、本と本以外のものを売る店、本を出版する本屋、様々な形態があり、本を取り巻く環境が拡大している。所謂実店舗は総体的にそう大きな所は無いが、店を持たない本屋もあり、中には本を販売しない本屋もあるのだ。電子書籍やネットでのブログ連載、エアー本屋というものまで、全国的には小売りの書店の数は減少しており、大型書店に集約されていく中でこのような趣味的な本屋が少しずつ出てきている。

 今回読んだのは三冊。一つは大手の書店員から個人の本屋を始めた人の開業の様子を記録した本、もう一つはUターンして地方の書店が街づくりに関わって頑張っているもの、最後は本屋とバ―を併設、家具も売る店をやり、本の世界の可能性について触れた本である。それぞれに自分の生い立ちから現在の様子まで書かれているので、どんな人がこういう本屋をやっているのかが理解できる。面白い、遊んでいるとは言わないが、楽しんでいるなとは思う。共通しているのは自分がセレクトした本を並べている事だろうか。それを商売として成立させているのが羨ましい限りである。六年ほど前から自分より若い人達がこうして自分の生き方を変えてきているのを感じる。昔ほど会社依存人間はいなくなり、自分の好きなことを仕事にしていくことを選んでいるような気がする。さらに半世紀ほど昔に戻っているのだろうか。もしかしたらここから社会が少しでも変わっていくのならそれも良いかなと思う。「本屋はじめました」辻山良雄(苦楽堂)、ローカルブックストアである福岡ブックスキューブリック」大井実(晶文社)、「本の逆襲」内沼晋太郎(朝日出版社)