複雑な文章

 相変わらずのゆっくりペースなので読もうと思っている本がかなりの量で待機している。それなのに興味本位で別の本を読んでみたりするからなかなか待機本が減らない。もしかしたらこのまま読まずに売れていくのだろうか。それでも売れれば誰かが読んでくれるかも知れないのでいいが、売れないまま本だけが増えていくのも本末転倒ものだ。そうなりつつあるのかもしれない。とにかく読み続けてみよう。

 新聞だったか何かのの書評でチェックしておいた本だが、なかなか安く入手できなかったので新刊で購入してしまった。それなのにそのうちに読もうと思って棚に差しておいたら、その気にならないので手にするまでにかなり時間がかかってしまった。そして先日雨の日にやっと読み始めたら短時間で読み終えてしまった。かなり前だったので当時の書評の文章も手元になく忘れてしまっていたが、その時の記憶だけで面白そうだなと思っていたのだろう。店にも伊藤野枝や大杉栄の本が結構あるので、何か新しいものが書かれているのだろうかと期待してしまった。

 それにしても壮絶な人生だと思う。強かにしなやかにと言うか伊藤野枝の生き方がとてもわかりやすく描かれており、引用されている文章からもその人物像がきちんと浮かび上がってくるのでとても理解しやすい。あまり新鮮な内容ではないが、出版当時は話題になったのだろうか。タイトルはかなり攻撃的だなと思う。筆者の文章は新しい書き方なのだろうか。若者向けの雑誌などに寄稿しているようだ。ひらがなが多いので自分にはとても読みにくかった。難しい漢字ばかりでも読めなくて疲れてしまうだろうが、ひらがなが多いのにこんなに読みにくいという経験はなかった。おまけに汚い言葉が多くて読後感があまり良いものではなかった。もったいない。「村に火をつけ、白痴になれ」栗原康(岩波書店)