稲作について

 以前に読んだ藤原辰史氏の著作がとても面白くて読んでいる。問題はどの著作もほとんど値下がりもすることがなく、なかなか私の買える値段にならないことである。今回の本も私としては多少思い切って購入したものだが、これが難しくて思うように読み進まなかった。ずっと食の問題について書き続けているようだ。今回は米のことである。日本の米作りと植民地の食料としての米作りの品種改良について調べたもので、例によって多くの参考文献の一覧が載っている。その中の何冊かはこれから読むべき対象の本としてすでに購入したものもある。いつも読後に追跡書を何冊か必要とするので大変だ。本書を読みながらもつい別の本を調べてみたくなってくるのだ。

 日本は南北に細長い国なので、自国だけでもその土地に合った品種が求められてくるということになる。また戦時の食料政策はどこの国でも考えなくてはならないことであり、日本はその点についても深く追求していたということのようだ。いつも感じるのだが本当によく調べたものだと感心してしまう。日本の米は本当においしいと思う。いま世界では遺伝子操作などによる種子の独占化が勧められているが、食料自給率の向上確保と独自の稲作事業政策が本当は必要なのではないかと思う。「稲の大東亜共栄圏」藤原辰史(吉川弘文堂)