まだ読んでいる

 何だか本を読むペースが落ちているような気がする。本を読まないとイライラしてどうしようもないということもないのでかなりゆっくりという感じになっている。その上にこの本はすごく時間がかかっているのだ。共同通信社の文化部記者である筆者が雑誌「文学界」に連載したコラムをまとめたものである。全く知らない人だったが読んでいてとても面白く、時間をかけて少しずつ読んでいる。毎月のコラムにこれだけの分量を書くのも大変だと思うが、解かりやすくてしっかりとした文章と内容なので読みごたえがある。記者だと言うのでそれなりに取材を重ねたのでしょう。取り上げられた作家や作品は個人的な興味の範囲だと言うことだが、それらもまた面白い選択だと思う。特に永山則夫の文芸家協会入会問題については当時の文学界の様子がわかって興味深く読むことが出来た。調べたらこの本は20年を経て完全版が発行されている。他に白川靜、村上春樹についての著作があるが、それほど多くの本を出されている訳ではないようだ。たまにこうして引っかかる本に出会うとそれはそれで嬉しい。「文学者追跡」小山鉄郎(文藝春秋)