社会的事業と新公共スタイル(4)

  前に勤めていた所はちょっと変わった会社で協同組合組織だった。自分で出資して運営にも参加するという建て前で毎月積立金を引かれていた。以前に生協に入っていたこともあったがそれに似ている。そこで私はかなり自由な立場で仕事をやらせてもらっていた。職場には一応自分の机とパソコンが置かれ勤務時間も指示されていたが、出勤時間は特に拘らず仕事も自分のスケジュールも自己管理だった。給料は安かったが交通費は全部出して貰えた。あまり精算を怠ると高額になるので週に一回位は思い出しながら交通費の計算をしていた。最初は何をしたらいいのかという日々だったが、周囲の事情が理解できてくるとだんだんと仕事が増えて休みがなかなか取れなくなってきた。それから本当に自主管理という形になり、自分のできる仕事を自分で考えてやっていくことになった。

 主な仕事はこの会社組織の在り様についての法的制度化だった。それまでの経過は使用していたパソコンに情報が入っていたので最初はそれを読んでいく日々だった。仕事起こしの協同組合というのが入った時に聞いた新鮮な言葉だった。その制度は自分で出資して働き運営していくということだったが、実際に働く現場はなかなか経営的には厳しい環境であった。これは生協などがやっているものも同じで実情は最低賃金の確保も難しいような労働環境があり、NPO法人を設立する事業所もある。その制度化は議員などに陳情したり、集会を開催しアピールしたりと多岐に渡る運動を展開していたのだが未だに実現していない。

 資料的に著名な人の本を読み講演会をなどを企画したり、交流組織を作ったりと様々な現場を見ていく中で社会的な有効性はあるということも理解出来て来た。ただ法律を制定するということが極めて政治的な問題であるということでもあり今後のことを考えると実際の事業所を多く作っていくことが必要なのかも知れないと思っている。これは現実にはかなりの数が実在しているのだが、さらに根気よく事例を積み上げていくという努力が求められているというのが現実なのだろうか。