宇宙からの帰還後

 以前に立花隆氏の「宇宙からの帰還」という本を読んだことがある。アメリカの宇宙飛行士が宇宙旅行を経験した後にどうしているかを書かれた本である。何度か宇宙に出ていく人もいるが、政治家になる人や、私が印象に残っているのは宗教家になる人や農家になる人がいることであった。宇宙から地球を見ることによって何らかの影響をするだろうかと思っていたのだ。今は映像を送ってくるので何となく宇宙の感覚が理解できるような気がしているが、自分の足元に何もないということや酸素が無くなると言う恐怖感はわからない。映像で見る限り地球は宇宙で青く美しく輝いているように思える。その体験がその後の生活に何らかの変化をもたらすのかどうかが興味のある所である。

 秋山豊寛氏はテレビ記者であり、民間人で宇宙飛行士となって宇宙旅行経験した後に農業を営んでいる。アメリカの宇宙飛行士と同様に何か考えるものがあったのだろうかと思って本を読んでみた。記者であったので二大国家の宇宙開発をきちんとレポートしており、今後の展開も描かれている。ただ宇宙旅行経験者と農業就農との関連性はあまり感じられなかった。美しい地球が以外と脆い層に守られているという危機感と自分たちの住む地球を大切にしていかなくてはならないという思いは伝わってくるものがあった。農業については個人的な志向があったようである。その内容が有機農業であることも本人の生き方に関係するものかもしれない。読んでいるとここから政治への道も考えられるのではないかと思ったがそうならないのも一つの生き方であるということなのか。「宇宙と大地」秋山豊寛(岩波書店)、「鍬と宇宙船」秋山豊寛(ランダムハウス講談社)