偶然に見たのだが

 昨年の暮れだったかNHKテレビの朝の番組で書家というのか画家なのかよくわからないが篠田桃紅という人の出演しているのを見たことがあった。その日に知り合いのツイッターでも書かれていたのでやはり見ていたのだろう。ぼけーつとインタビューに答えていた姿をみていたらあまりに受け答えがしっかりしているので驚いてしまった。何と103歳なのである。アナウンサーも女性だったがその凛とした受け答えと語られた生き様に圧倒されるものを感じた。その書は安西均氏詩集の表紙で見たことがあった。一番驚いた言葉は「一本の線をずっと書いてみたい」と言うものだった。要するに書けるのなら一筆で行ける所まで線を引いていきたいということなのだ。100歳を超えてもしっかりした言葉で自分の意見を述べているのを見て知り合いの人は「老化とは何なのか」と書きこんでいた。今も書いている書がとても年齢を感じさせない強さと自由を感じる。すごい人だなと思って本を購入して読んでみた。100歳を数えたら当然戦争も経験しているし、決して豊かな生活でもなく結婚しない女性としての大変な人生だったのではないだろうかと想像したが、その内容は実に淡々としたものが書かれている。瀬戸内寂聴氏も90歳を過ぎて死ねない気持ちを書かれているがちょっと想像も出来ない。「103歳になってわかったこと」篠田桃紅(幻冬舎)写真は図録から紹介。