小さな暮らし

 映画にもなっている二人の生活が実際はどうだったのか本からはなかなか具体的には見えてこないものがある。私の周辺にはこの映画を観た人が多かった。一様に良かったという感想を貰う。何がということは上手く伝えられないようだ。90歳になる夫婦の暮らしぶりは何となく想像できるがその生活の何が人を感動させるのか。写真を見るとわかる部分もあるかもしれない。今の社会が構成している要素を否定しているのである。早くて便利で簡単な生活ではなくゆったりとした自分の時間を大切にして生きることを目指したものだ。本当の豊かさを求めて生きるために色々な人が言ってきたことだが、実際には誰でも楽な方へ行ってしまうのだ。不便な生活を大変だと思うか普通の生活としてやっていけるかどうかと言うことのような気がする。建築家の夫が描くイラストは味があって上手いと思う。これが設計のベースになっているのだろう。そして今の若い子育て世代の人たちの中で共感を持って生き方を変えている人がいることは嬉しい。全体の考えにはならないだろうが世代を超えてこういった人たちが出てくることが面白い。自分も歳をとってきたので小さなノルマを日々積み上げていく暮らしには納得するものがある。「キラリとおしゃれ」津端修一・津端英子(ミネルヴァ書房)