本に関することば

 古本屋を沖縄で開店した女性のエッセイ集である。ジュンク堂を辞めて古本屋になったということだ。先日に来店した若者は逆に古本屋を辞めてジュンク堂に入ったと言って報告しに来てくれた。若い人が本の世界で生きていくということは何となく嬉しい話だ。帯には「気鋭のエッセイストが綴る珠玉のエッセイ集」と書かれている。この人の本はすでに三冊目なので文章のうまさと読みやすさは実感しているが、最近こんな感じの女性の書き手が増えているような気がする。文芸誌の受賞者も女性が多く見られるし、皆さん有能だ。それと若い人がやっている古本屋も増えている。色々な店を見て回っているが、皆さん本当に楽しんでやっているようで感心してしまう。内容は雑誌に連載されていたものを集めたらしく簡潔で読みやすい。それぞれの目のつけどころが新鮮だ。中ほどに「休みの日」という文章がある。著者の別の本の表紙に使われたという写真の話である。短い文章で今の店の日々の生活が鮮やかに書かれている。そしてラストが上手いなと思った。「市場のことば、本の声」宇田智子(晶文社)