地球星

 芥川賞を受賞した作品は面白く読んだ。それが面白かったので雑誌の記事などを読んだら人物像も面白かったので以前の作品を一篇読んだ。だが、その作品はそんなに面白いとは思わなかった。今回は受賞後の第一作目の長編である。新聞で広告を見たら前作を遥かに超える衝撃作と書かれていたので買ってみた。近くの書店には無かったので東京まで行って買ってきたがすでに二刷目であった。売れているのだと思う。一気に読み終える読みやすい文章なのだが時間の都合で何回かに分けて読んだ。そのせいか割と素直に最後まで読み終えることが出来た。だが、果たして一気に読んだら途中で嫌になったかもしれない。知り合いの古本屋さんはこの人の文体が好きになれないと言っていたが、私はまるで漫画を読んでいるような感覚で読んでしまった。最後はかなりショッキングで破滅的だ。作家仲間からクレイジーと言われているらしいから漫画だと思えばいいかもしれない。作者の個人的な体験や想いが強いのか冷静に社会批判を続けているのかどれも似たような印象を持つ作品だった。そんな風に社会常識への違和感を問題提起しているのかもしれない。内容に関連して言うと、少し前に「LGBTは子どもを産まないため生産性がなく彼らに税金を投入するのはおかしい」ということが言われた。もしかしたらこれから人工授精の研究が進められ、結婚とか家族とかに関係なく子どもが生まれる生産性の高い社会が出来るかもしれない。それは今の常識には反する社会かもしれないが、まだ保守的な価値観がはびこる現代に対して逆に新しい価値観を提示しているのだと言われたらどう応えたらいいのだろうか。「地球星人」村田沙耶香(新潮社)