古本屋の店先で

 本の本は結構買ってしまう。その中には古本屋についての本も当然ある。やはり興味があるから買ってしまうのだが、むかしの古本屋の出している本はやはり面白い。自分の知らない古い古本屋の実態は奇妙で面白いのである。最近の若い人たちが出すその手の本も大いに参考になるし、それもやはり本を出す位だからそれなりに文章の上手い店主であると感心する。今は書くのを止めてしまったが詩を書きながら古本屋をやっているなどと言うといつか本でも出すのではないですかなどと言われることがある。しかし古本屋に来るお客さんはそれなりに本に対しては言いたいことを持っている人が多い。そんなことを話していると自分の浅い知識が知れてくるのは明らかでとても本を出そうなどとは思わない。最近読んだ古本屋の本は一つは新刊であり、一つはかなり古い本であった。どちらも古本屋をしながらの文筆業で生計を立てていた人である。これがやはり面白い。古本屋ではこんなことが起こるのかと楽しくなってくる。文章も上手いし、やはり才能のある人は違うものだと思った。「ある詩人古本屋伝」青木正美(筑摩書房)、「古本綺譚」出久根達郎(中公文庫)