新鮮だった歌集

 先日店を臨時休業として実家に久しぶりに帰ってきた。翌日店のポストを見たら一冊の本が入っていた。皮肉なもので店に居る時はほとんどお客さんは来ないのだがたまに留守にするとお客さんがやってきたりするのだ。その本は近くに住む詩人の方が今度は出版した歌集を持ってきてくれたものだった。詩集は興味があるものを結構集めてきたが短歌や俳句などはほとんど読んでいないし店にも置いていない。そんな訳で読むこともないのだが折角持ってきてくれた本なので家で少しずつ読んでいた。よく食わず嫌いという言葉があるように読まず嫌いで手にしなかった短歌が新鮮でとても面白く読んだ。取り上げられている題材が身近なものが多く自分の知っていることなどが歌われているのも良かったのかもしれない。言葉は難しかったが作者の洒落た言葉遣いがセンス良くて思わず色々な場面を想像しながら楽しんで読み終えた。一つだけでも紹介したい。「手作りのプラカードに添へ冷えピタ・塩飴・ボトル・OK」以前に来店された時に自分の勤めていた職場にあった詩人の会の先輩と同じ同人誌で活躍していたと知ったがまだまだ元気そうだった。読み終えてその暮らしぶりが想像できるようで嬉しく思った。「独居小吟」栗原澪子(コールサック社)