悩ましい読書

雨が続いているので休みもあまり遠くには出かけないで家で本でも読もうかと思って店の近くにあるデパートの書店に寄ってみた。ここは有名な大型書店なので本の数は多いのだがほしい本はほとんど在庫がないので注文で頼むようになる。しかし今回は特に読みたい本がある訳ではないので店に並べてあるものを買って帰ろうと見ていたらこれが目についた。今までも何冊かこの作者の本を読んで面白かったのとタイトルが気になったので買ってみた。作者はがんを患って離島での一人暮らしを始めた。文筆業なので時々出てきて打ち合わせをする程度で生活に支障はなかったようだ。雑誌などの連載や買った本は面白く読んでいたがなんでストーカーに逢うのかわからなかった。ということで読んでみるとSNSで知り合った人とのネットを中心としたストーカー被害の実体験を本にしたものだった。読後は何だかあまり言い気分ではなかったのだが現代のネット社会ではこのような事件が起こりえるのだなと納得する内容だった。有名な人でもネットで異性と知り合うということが実際行われているのだと知ったことにも驚いたがその内容をこうして本にして出すことにも驚いてしまった。ストーカーそのものも病気かも知れないがその人自身はまた別の病気を抱えていた。かなり赤裸々な関係性も書かれておりこれを初めから週刊誌に連載していたというのがすごい。とにかく本にして出したいということが優先したのだろうか。それにしても読後の何ともやりきれない思いは何なのだろうか。社会的な事件として現代ではきちんと法制度が敷かれなければいけないと思う。でも男女の別はあっても人間関係の作り方がうまくいかないことが現代社会には多い。そこから派生する事件や事例が当然のようにあることが問題のような気がする。「ストーカーとの七〇〇日戦争」内澤旬子(文芸春秋)