懐かしさで本を読む

何度も同じことを書いているが近所にあるデパートの中に書店が出来たので店を開ける前に寄ることが多い。平台にどんな本が並んでいるのか売行きベストランキングにどんな本が入っているのかを確認することが出来る。実際に買おうと思ってもなかなかほしい本は無く大体注文になりことが多いのは地方なので仕方ないことだと諦める。とりあえず新刊の本を何か読んでみようかと思った時には在庫が多いのは助かる場合が多い。先日も棚には何か本でもと思っていたが思うような読んでみたい本が見つからなかった。そんな時は文庫本が手軽で良い。ちくま文庫の棚に面だしの陳列で友川カズキという名前が目に付いた。パラパラと中を見ると今までに書いた文章をまとめたものらしい。詩を所々に入っているので読み易そうである。とにかく懐かしいのでこれを買ってしまった。そういえば最近この人を見ることもなくなった。最近に至るまでのさまざまな生活の様子がよくわかってくる。年齢を重ねてあの人もこの人もと亡くなった人との交流も書かれているのも生活ぶりがわかって面白い。大分昔のことになるが友川カズキがテレビのレポーターとして出ていた番組を見た記憶が蘇ってきた。週一の夜の番組で営業の終わる深夜の駅で最終電車のレポートをしていたように覚えている。秋田弁でとつとつと話す言葉はそのまま詩の朗読を聴いているようでとても味わいのあるコーナーであったが長続きはしなかったような気がする。そんな一場面だけが懐かしく思い出されてきた。「一人盆踊り」友川カズキ(ちくま文庫)