もう一冊読んでみた

本棚をよく見たら何と前回読んだ佐藤泰志という名前の文庫本が見つかった。早速これも読んでみたがこれも面白く読み終えた。この本には三作品が収録されていた。表題になっているのはデビュー作だという。何と主に登場するのはたったの四人である。小動物を子どもたちに見せて歩きたいと言うことを夢見ている人、そこで働いている人、辞めた人が出てくるだけで物語が作られている。もう二つはマンションの若い理人を主人公にした作品と工場で働く若者を描いた作品である。ここまで読んでみて色々な仕事に就いている人を描いているのだということがわかる。それぞれの仕事の内容についても取材が出来ているのかあまり知らないような仕事の内容が見えてきて面白い。相変わらず読みやすいのは文章表現の上手さなのだろうか。読み進んでいくだけで登場人物の性格や仕事に対する思いなどが伝わってくる。基本的に屈折した生き方をしている人物が多いが、その仕事ぶりを通じて性格や社会的な存在や背景などがすっと入ってくるので読みやすいのだろうか。お話そのものはきれいに片がつくような話ではなく終わるものが多いが暗くはなくむしろ何か希望さえ感じられる。色々な仕事を通じて登場人物が丁寧に描き出されていて読後感が良いのである。また別の作品も読んでみたくなる。「移動動物園」佐藤泰志(小学館文庫)

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コメント: 1
  • #1

    田島杏子 (日曜日, 22 9月 2019 14:13)

    たまたま旅行の予定があって函館に来てます。今日帰るのですが。先程、函館文学館に寄り
    佐藤泰志の著書を購入しました。作品集もありましたので、送りましょうか?
    新品ですので買い取っていただけるとなお嬉しい のですが( 笑 )
    もう1冊は初期作品集です。こちらは読んでから行き先を決めます。
    ご返事お待ちしてます。取り急ぎ。