惰性からの脱出

二度の契約更新を経てなんとなく惰性的な運営状態になっている現状を反省しつつそれでもなかなか前向きな気持ちになれないでいる。休みを利用して色々な店を見て何かヒントのような感じを貰おうと思っている。いつだったか阿佐ヶ谷で懐かしい店の名前を見つけて入ってみたら何と昔はやはり貸本を扱っていたと聞いた。小さなスペースに詰め込まれた中には欲しい本は無かったがただ懐かしかった。その後再度行った時には開いていなかったのだが聞くところによるとその後に閉店したということだった。しかし最近そこが古本屋として再開したということを聞いた。それも評論家で名のある人が引き継いだそうである。その後に波行っていないのでどんな店になっているのかは知らなかったがネットで情報を知ることが出来た。私は知ることがなかった切通利作という映画を中心に評論をしているらしい人が自分の趣味的な店としてすでにオープンしている。ネットに紹介されているそのインタビューを読んでこれもまた懐かしい思いだった。以下引用する。

今まで買った本、CDLP、実はいままで人生で古書店に本を売ったことはないんですよ。自分の本棚を充実させてニヤニヤしていても誰も見てくれないじゃないですか。みせびらかしたいから売っちゃおうと。」

「あともうひとつ古物商でよくあるのは誰かが亡くなって遺品を買い取るというケースですけど、それを生きている間にやっちゃおうと。一種の生前葬かもしれないですね。」

「自分にとって無価値になった本を売るんじゃなくて自分にとっていつまでも価値のある本こそ売っちゃおうと思っているんですよ。売った本が仕事で必要になったらまた買えばいいし。」

僕はカオスなお店が好きなんですよ。前々からそういう空間に行くとこういう店やりたいなあという脳内妄想が広がっていたんです。たとえば90年代の中盤から後半くらいだと思うんですが、中野ブロードウェイにあるトリオとタコシェが同じ場所でやっていた時期があったんですよ。自費出版の冊子と昔のピンク映画のポスターや雑誌のバックナンバーが渾然一体、カオス状態で販売されていて。」

あともうひとつ同じような感覚になるお店があって。それは現在もそのままありますけど模索舎なんです。」

長い引用になってしまったがそういう思いがあって古本屋を引き継いだということである。今は駄菓子屋雑貨も置いてあると聞いたがそのうちに訪ねてみたいと思う。何をやればいいのかわからないまま惰性でいる状態だが何か気持ちを整理することにつながるような気がする。