また本の本で学ぶ

近くの書店で衝動買いしてしまった本に関する本だが意外と面白くて一気に読み終えてしまった。以前には「復興の書店」と言う本を出していたそうだがその時は読んではいなかった。今回は正に衝動買いでしかないのだが本を作るお手伝いをしているので参考にさせて貰った。現在本を作りたいというお客さんの手伝いで編集をずっとやっている。当初の原稿を編集して何回か修正しては送り返すという事を繰り返している内に何だか最初に面白い文章ではないかと思ったものがだんだんとつまらない文章になってきた。修正する度にかなりの修正が繰り返されて文章の良さが薄れてきてしまったような気がするのだ。もったいないような気がするのだ。さて、この本は本づくりの仕事についての本である。登場するのは活版印刷に拘る印刷工、校正校閲のプロとして活躍する人、書体を作る人、紙を作る人などである。それぞれの拘りのプロがいる。それを紹介した本だが登場人物がなかなか面白いのである。最後には絵本作家の角野栄子氏も出てくる。この人の発言が良いので紹介しておきたい。「本を読むには我慢がいる。たとえどんなに面白い物語でも、二頁目くらいまでは我慢して読まなくちゃ、面白さは伝わらないもの。本はひとたび面白いと思えばたちどころに大好きになるし、何より次は自分で自分のための物語を選ぶことができるようになる。自分で自分の好きな本を選ぶという行為は、人が一人でものを考え、一人で覚悟して行動する、という基本的な人間としてのあり方そのものじゃないかしら」ということで、もう一度本づくりに真摯に取り組んでいかなくちゃという気になった。「本をつくるという仕事」稲泉連(筑摩書房)