地味にこつこつと

 ネットで日本の古本屋というサイトを見るとその中にメールマガジンのバックナンバーが掲載されている。定期的に書かれているのか古本マニアを紹介する文章がある。最近の記事に紹介されていたのは以前店にやってきたお客さんだった。すでに十回を超えた連載になっていて色々な人がいるものだと感心する。そんな古本屋巡りをする人や本の好きな人を紹介している中にあった矢部登さんという人の記事が面白そうなので本を注文した。折角なので日本の古本屋で探してみたら何冊か出てきたが、あまり高価な本は買えないのでとりあえず入手可能なものを頼んでみた。好きな作家について書き綴った原稿を個人的に冊子にまとめたものを出しているという。その第一号である。いかにもミニコミ的な体裁だがきちんとした造りで人柄がにじみ出てくるような冊子である。もう一冊はそれらの文章を集めてまとめた本である。これも凝った体裁で一人の作家について何年もかけて書き続けてきたものをまとめた本の好きな人が出した一冊という感じである。同じ同人誌に所属したという縁で知り合えた人だという。こんな風に作家を追いかけて文章をまとめていく作業も大切なことだ。つい色々なことに目を取られてあちこちの本を読み流していることを反省する。「結城信一「鎮魂曲」の前後」矢部登(私家版)、「結城信一抄」矢部登(紫陽社)