社会的事業と新公共スタイル7

新型ウイルスの流行で政府の緊急事態宣言が出されてから外出を自粛していた。約二か月間どこにも出かけることなく家と店を往復していた。家にいるだけでは流石に息詰まるだろうが店に居て本の整理をしていれば少しは気持ちも楽になる。たまにお客さんが来ることがあるが店での営業も自粛していると断っていた。それにしてもこの二か月間は街も静かで人通りもなくよく言われるように街が死んだようになっていた。埼玉県は全国に少し遅れたが今はその自粛要請も解除されて街も通常のような感じに戻っている。感染者がいなくなった訳ではないが元に戻った生活になっている。今は仕事もやめて通勤する生活もないので外出も控えろとなればどこにも行かずに済む。しかし働いている人は東京に通勤しているので電車が混んでいようが通勤しなくてはならないので元の生活に戻るということは感染のリスクを承知しながら通うことになる。今回のウイルス流行の中でテレワークがよく言われてテレビでその場面も見たが全員がそうなる訳ではない。政府の言う新しい生活様式の提示が新しい生き方の選択につながればいいのではないかと思っている。外国から見ればおかしい満員電車での通勤などはテレワークや時差出勤などで少しずつ変えられるのではないか。現実に一時的にはそんな状態が作られてしまった訳なのだ。店が休業して不便な生活になってしまったことはあるが仕事が生活のすべてではない生き方が選択として示されたのは意味があるような気がする。さて古本屋だけではなく書店も休業してしまったのでネットで本を買うことになってしまった。おまけに配達の量が多くなって遅配が出たり再配達が中止になったりと意外な所で影響が出るものだと思った。世の中はいろいろな所でつながって影響しあっていることがわかった。今回は古本でなかなか安くならなかったので新刊で続編が出されたついでに二冊同時に買ったしまった。工藤律子という人は知らなかったが中に出てくる人は知っている人がいた。スペインを取材して新しい働き方を紹介した本である。私がその法制化を担当していた協同労働で働いている人々とその内容を紹介している。4年前に出された本では市民政党で政治の世界にも進出した事例とフードバンクの例が知りたかったのだ。今回はその協同労働の内容がより詳しく紹介されて経済の流れも書かれている。興味を持ったのは新しい書店のあり方であった。政府は今回のようなウイルス問題が起こっても淡々と自分たちの政策に摺り寄せてしまうだけだ。「働き方改革」を提示しながらも市民が運動を続けてきた法制化は未だに実現していない。「雇用なしで生きる」「つながりの経済を創る」工藤律子(岩波書店)