自粛生活

今年の一月は街の中から外国の人がいなくなったような気がする。2月になったら新型ウイルスのニュースが出てくるようになり3月からはニュースが身近な問題になってきた。そして緊急事態宣言という初めての経験で自粛生活に入っていった。期間中は店を閉めて常連のお客さんにもその旨を告げて新規のお客さんはお断りしていた。店には来ていたが何もすることはなく本の整理などをして過ごしていた。外出することもできないので余計なお金を使うこともなく図書館も閉められ書店も閉められとますます余計な出費もなく家計は助かった。元々そんなに売れる店ではないが長期休業というのも経験もなかったのでこれからどうなるのだろうと思うばかりだった。店を閉めても問題なく何をやるのかを考えるようになった。緊急事態宣言は5月連休を過ぎて解除されたが店を開けても何も変わることはなくウイルスの流行は続いているばかりだ。街も生活も元のようになってはいるが実は何も解決してはいない。本屋では「ペスト」が売れたそうである。今書店ではコロナウイルス関連の本が棚に増えているがどれだけ売れているのだろうか。そんな中でテレビで名前を忘れてしまったが女性作家がこの本を紹介していたので買ってみた。何度も書店の棚で見ていたのだが積極的に読みたいと思う本ではなかったので買わなかったのだ。かなり厚い本なので読むのに時間がかかった。緊急事態宣言を受けて自粛生活をしていた時の様々な職業の人の生活日記である。色々な立場の人が緊急事態の中でどんな生活をしていたのかがわかる。本当に色々な立場の人が書いている。有名無名の様々な仕事についている人達の記録である。長い物語ではないので読むのは簡単だ。本当に皆さん頑張って自粛しながら生活している様子が見られて面白く読んでしまった。中には悲しい話もあるし真面目にこの生活をおくっていたのがわかって不思議な感動があった。自分の生活も大変だが知り合いの生活のことも考えている。そんなことができる人がいることも嬉しい。戦争のような大きな社会事件も知らなかったが天皇の亡くなった時の自粛生活とはまた違う。もしかしたら自分の命に係わるかも知れないがそんな現実的な危機感もわからないまま生活が変わっていく。今政府は新しい生活様式という言葉を使っているが新しい生き方をしていくことを現実に考えなくてはならないと思う。「仕事本」(左右社)