私の読書

最近朝本を読むことを覚えてから寝床で本を読んでいる。歳をとって睡眠時間が少なくなり朝早く起きるようになった。だがあまり早く起きだしてテレビなどをつけると隣の部屋で寝ている家族から苦情が出る。しばらくはテレビの音を消して見ていたのだが音が出ない画面を見ていると眠くなってしまう事がわかった。どうしようかと考えた挙句に起きださないで寝たまま本を読みだしたのだ。これで結構本を読むようになった。他の人に聞くとやはり朝早く起きて(ほぼ深夜に近いようだが)ラジオを聞いている人が多いようだ。そう言えば以前に私も深夜のラジオを聞いていた憶えがある。睡眠時間が短いのも老化現象の一つなのだろう。結局起きる時間は同じなのだが家族よりもなるべく遅く起きだすまでの時間を読書で過ごしている。簡単に読める本はひと朝(変な言葉だ)で読み終える。読み終えないままに起きだすこともあるが次の朝に続きを読めばいい。それで結構本が読めるようになったし少し厚い本も読み終えるようになった。

最近は古本だけでなく新刊本も多く読むようになってきた。直近で読み終えた本に津野海太郎氏の「かれが最後に書いた本」というのがある。昔「本とコンピューター」という雑誌を読んでいたがその編集をしていた人である。もう高齢になるので知り合いにも亡くなった人もいる。それらの人も含めて最後に書かれた本の事が書かれている。その中の一つに興味を持つものがあった。加藤典洋という人の父親とのエピソードである。父親が特高主任として検挙した人物について何度も口論をした話や学生運動でも絶対捕まらないように注意した話などが出てくるのだ。そして今度は加藤氏の出した「大きな字で書くこと」という本をネットで注文して読んでみた。これがまた文学的な文章でとても素晴らしい。まるで詩を読んでいるようである。しかも内容は父親との確執がさらに詳しく書かれていてこれも面白いのだ。津野氏の本ではもう一冊の本も紹介されていたのでこちらも近いうちに読んでみようと思っている。自分の若い時はそんなに多くの本を読んだということはなかった。気に入った作家の作品をいくつかまとめて読んだ位である。今はそんなにこだわって読んでいる作家もいない。他人に薦められればなんでも興味を持って読んでいる。いつまでにどれだけの本が読めるかわからないがまるで流れに漂うような読書であるがこれも面白い。