2015年

12月

18日

本のリサイクル

 

 最近は図書館で本を借りて読む人が増えているのは社会状況から考えても当然のことであり、本を読まない人が増えているというニュースより歓迎すべきことだと思う。その図書館の運営方法も変わってきており、民間委託する自治体が増えているが、その運営内容がネットでも話題になっている。今までの本を貸し出す場所からくつろぎの場としてのサービスを提供する場へと変わり、資料としての本から映像を貸し出すことも多くなっている。当地では県立の図書館が一気に消滅しつつあるが、やはりそれだけ大きな負担が公共団体にかかってくるから削減しようということなのだろう。

確かに各自治体の全てに図書館が整備されている現状から言うと無駄な部分が目につく所ではある。どの図書館も同じ本を自治体の予算の規模に合わせて購入している訳でそれぞれの特徴も何もない。本を読む施設としての機能から貸し出す機能を別にすればもっと近隣施設との連携を図っていくことにより、読みたいけどその本が今はありませんと言う状況を少しでも解消できるのではないかと思える。ネットで問題視されているのは本当にそこに必要な本が揃っていないということであり、民間企業からの不用本を置いているのではないかと言ったことだったと思う。本当の住民サービスとして考えるのなら利用者としての住民要望をきちんと把握する所から始めるべきではないだろうか。その手続き的な部分はどうだったのだろうか。最近新刊の本は高いからそんなに多く買う訳にもいかず、多くの本を揃えるには費用対効果を考え使用本を置くのも仕方ないと考えれば何を購入するのかは住民参加も必要になってくるのではないか。図書選定委員会をもっと拡大公開していくことを薦める。

地方都市で図書館建設したが図書が整備出来ないとして全国から図書の寄贈を依頼した自治体があった。店を始める前だったので随分要らない本を送った記憶がある。その図書館では全国の本寄贈者の名前を一覧で掲示しているそうで、ぜひ一度ご来館下さいと言う案内を貰ったがまだ行っていない。いま当地でも次回の図書館運営事業者の選定に入っている。以前に近くの図書館の指定管理者公募に応募したことがあったが、新規に参入するのはなかなか難しいようで何らかの斬新な企画手法を提示できないと変わることはないだろう。

また最近はどこの図書館でも寄贈本の受付や本のリサイクルを実施している。明日から当地の図書館でも本のリサイクルが行われ、無料で持ち帰ることが出来るようだ。本のネット販売でもたまに図書館の除籍本を販売していることがある。先日読んでみたかったのと価格が安かったので申し込んでみた。送られてきたのはとてもきれいな本だったが、図書館の名前がスタンプでしっかりと押されていて貸出用のシールも貼られている。なおかつリサイクル本のスタンプも押されていたのでゆっくりと丁寧にそれらを剥がしてみたが最後に失敗してしまった。線引きや書き込み、落丁本や破れ、蔵書印やサイン、これらはやはりあまり好きではないので、この本は無料とすることにした。

 

0 コメント

2015年

12月

12日

捨てても溜まるもの

 趣味の古本屋とは言っても商売でやっていると本は仕入れていかないとすぐに在庫が底をついてしまうだろうということになる。それをいい口実に好きな本を買っていたら当初の思惑とは別に本が増えているという現実になった。もう年齢的にも蔵書を処分して残された時間で好きな本を読みながら終わろうと思い、在庫の放出方法として古本屋を考えたのだ。ただ売るだけでは本は少なくなって売るものが無くなるだろうからと古物商の資格を取り、蔵書処分に困っている人たちからの買い取りもしていこうと考えていた。その方が要らなくなった本が少しずつ回転して読まれていくし、そのうち本も無くなって上手く終了と言うことになると思っていた。でも実際はそうはならなかった。

 本は溜まるものだったのだ。ということは新刊本や古本をそれなりに買っている事になる。ある程度増えたら適当に処分しているのだが、それでも少しずつ増えているような気がする。最近は買い取りも多くなってきた。皆さん結構家に本をため込んでいてそれなりに処分に困っているらしい。あまり高くは買えないがそれでもいいと言う人は本を置いていくので増えていくのだ。加えて新刊本もやはり気になるものは買っているし、色々な店を見ているうちにやはり目につく本は買ってしまう。これではどうしようもないので読む量を増やしている。読んで面白かったものは店で売り、つまらないと感じたものは処分してしまう。以前にはトラックで来て貰い持って行って貰ったが、増殖している本の勢いは止まらないのであまり変化は見られなかった。新刊書店の主な仕事は返本作業だと聞いたが、古本屋の主な仕事は本の処分ということになる。それをしないと売れない在庫を抱えて閉店と言うことになるのだろう。これは恐ろしいことで自分が死んだ後のことまで考えなくてはならなくなってきた。当初に思っていたことが再び現実の問題になってきてしまったということになるのか。

0 コメント

2015年

12月

05日

人を結う

 店を始めてからの二年間で色々な人との新たな付き合いも始まっている。お客さんで有ると同時に別のお付き合いも始まる人もいて、様々な関係が全く新しく作られていくのだ。おかげで全く知り合いもいなかったこの地でかなりの数の知り合いが増えた。不思議なもので知り合いの知り合いは知り合い同士であり、私の知らない所で店の存在が知られていることもある。

最近はあまり多くの付き合いを必要としない生活をしているが、それでも知り合いが多くなれば付き合いも多くなっていく。それを煩わしいと思えば出ていかなければいいし、面白そうだと思えば出ていくといった具合で、残された時間を精力的に消化していく訳でもないから自然のままで特に支障もない。と思っているが実際はどうなのかはわからない。

以前の知り合いから頂いた本のタイトルが「人を結う」というものだった。私の名前が入っていたので新たに一冊購入して店の棚に差してある。人と人との関係を新たに結び直すという意味だと思う。そしてそれが地域をつくるということに繋がっていくのだろう。古本屋を通じてそれが出来ていくのならそれもまた面白いと思うが。


0 コメント