2018年

1月

26日

宇宙からの帰還後

 以前に立花隆氏の「宇宙からの帰還」という本を読んだことがある。アメリカの宇宙飛行士が宇宙旅行を経験した後にどうしているかを書かれた本である。何度か宇宙に出ていく人もいるが、政治家になる人や、私が印象に残っているのは宗教家になる人や農家になる人がいることであった。宇宙から地球を見ることによって何らかの影響をするだろうかと思っていたのだ。今は映像を送ってくるので何となく宇宙の感覚が理解できるような気がしているが、自分の足元に何もないということや酸素が無くなると言う恐怖感はわからない。映像で見る限り地球は宇宙で青く美しく輝いているように思える。その体験がその後の生活に何らかの変化をもたらすのかどうかが興味のある所である。

 秋山豊寛氏はテレビ記者であり、民間人で宇宙飛行士となって宇宙旅行経験した後に農業を営んでいる。アメリカの宇宙飛行士と同様に何か考えるものがあったのだろうかと思って本を読んでみた。記者であったので二大国家の宇宙開発をきちんとレポートしており、今後の展開も描かれている。ただ宇宙旅行経験者と農業就農との関連性はあまり感じられなかった。美しい地球が以外と脆い層に守られているという危機感と自分たちの住む地球を大切にしていかなくてはならないという思いは伝わってくるものがあった。農業については個人的な志向があったようである。その内容が有機農業であることも本人の生き方に関係するものかもしれない。読んでいるとここから政治への道も考えられるのではないかと思ったがそうならないのも一つの生き方であるということなのか。「宇宙と大地」秋山豊寛(岩波書店)、「鍬と宇宙船」秋山豊寛(ランダムハウス講談社)

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2018年

1月

11日

君たちはどう生きるのか

 昔から漫画本は読んできたがアニメ映画そのものはあまり見たことはない。テレビでも漫画は見ないし劇場用のアニメ映画など見にいくこともない。大昔にテレビでディズ二―ランドという番組があり初めてアメリカの漫画を見たがほとんど興味を持つことはなかった。レンタル用のビデオで何本か宮崎駿監督の作品を見たがそれくらいだろうか。だがこの本はアニメのスタジオジブリについての本である。著者はアニメ雑誌の編集からアニメ制作の現場に移り劇場用アニメの制作を担ってきた人である。宮崎駿作品が多くの人に人気があるのは知っているがマンガ映画ということで映画館で見ることなどはなかった。

 いつだったかテレビ衛星放送で宮崎駿監督のドキュメンタリー番組をやっていたのを見たことがある。BSは再放送が多いので別の日にまた同じ番組を見てしまった。じっくりと見た訳ではないが引退した筈の宮崎駿監督が再度劇場用アニメの制作をするということを意味しているような気がした。そして番組の後半で若手の映像作家が宮崎監督に見せた作品について言った言葉が耳に残っている。監督は毎日散歩している時に会う障害児のことを引き合いにしてこの作品は障害者を侮辱していると怒りを露わにしていたのだ。映像では人間のような生き物が気持ち悪い動き方をしているのだがその不気味な動きが面白いと言うことのようだ。その感性に対して不快感だけではない苛立ちを覚えたのかもしれないが番組の最後には最後のアニメ制作を匂わせているのだ。

 後日その作品名が「君たちはどう生きるか」と決まったことが発表されたがこれは本のタイトルから採られたものらしい。以前にも好きな作家であるという堀辰雄の作品名をタイトルにした映画を作っているが果たしてその内容がどういうものになるのかが気になる所である。シールズという学生グループが一時期国会前での行動で話題になったことがある。その時に自らが読んで影響を受けた本を「今を生き抜くための102冊」というリストにまとめている。その中にこの「君たちはどう生きるか」が入っている。そして今この本がマンガになって書店のレジの脇などに積まれているのだ。これは誰かが仕組んでいるのだろうか。いつになるのか果たして完成するのかわからないが宮崎駿監督作品の内容が妙に気になってしまう所だ。本の著者はスタジオジブリの代表でもあり過去のアニメ作品のプロデューサ―もしているのでその時々の経過が面白く書かれている。基本的にはマンガアニメが好きな大人達が集まって創っていると言う雰囲気が良くわかってくる。今は日本のアニメは世界的にも人気があるがその中で成功して生き残っているのはすごいものだと思う。「仕事道楽」「ジブリの哲学」鈴木敏夫(岩波書店)

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