2017年

4月

21日

今更ながら

 何を今更という感じでこの本を読み始めた。芥川賞の受賞コメントで大体の人となりは理解していたつもりでいたのだが、肝心の作品を読まなくては何ともならない。とにかく一度読んでみようと思い、古本で買って置いた。実は、もう一人読んでみたいと思っている作品があり、これも本がすでに用意されている。最近ずっと受賞作品を読んでいる。何となく現代純文学の傾向を探っているような感じだ。たまたまお客さんからこの作家の作品を読んだ感想を聞いたら、二作品位で飽きてしまったということだったが、読んでいないのでは何とも言えない。単行本なので古本がもう安くなっているので助かる。文庫本が出るとネットでは1円、店頭でも100円となる。情けないような金額だが、買う方としては歓迎、問題は読んだ後にどうするのかということだ。芥川賞受賞作品の単行本など世間には溢れている訳だから困ってしまう。

 短編なので後ろにもう一篇収録されており、同時に読むことが出来てよかった。帯に紹介されているように私小説作家としてすでに何作も書いている人である。初めて触れた感想としては、とても面白く読み終えることが出来た。特に前半の部分は引き込まれるように読み進められた。全く想像していたものと違っていたのが言葉遣いで、こういう場面はどういう風に表現するのだろうかと思うような所もすごく納得できる表現内容だったことが意外だった。経歴を眺めていたら作家としてそれなりに経験を積んでいることもわかり、自分で作り上げて来たのだろうと思う。好きな作家を研究し、自分で本を編集してしまうことなども紹介されていたので知っていたが、作家として正直に進んでいることも好意的に評価されるべきだと思う。この作品内容的には最後をどうまとめるのだろうと思いながら読み進めていたが、大事も起こらずそのまま終わらせたのも良かった。読んでみないとわからないもので、読みやすいし、とても参考になる部分があった。自分としては良い印象だったので、余裕があればまた違う作品も読んでみたい。本を読む余裕があれば色々な本を読んでみたい。純文学もこんなに面白いし、とにかく読む本はたっぷりとあるのだから。「苦役列車」西村賢太(新潮社)

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2017年

4月

16日

複雑な文章

 相変わらずのゆっくりペースなので読もうと思っている本がかなりの量で待機している。それなのに興味本位で別の本を読んでみたりするからなかなか待機本が減らない。もしかしたらこのまま読まずに売れていくのだろうか。それでも売れれば誰かが読んでくれるかも知れないのでいいが、売れないまま本だけが増えていくのも本末転倒ものだ。そうなりつつあるのかもしれない。とにかく読み続けてみよう。

 新聞だったか何かのの書評でチェックしておいた本だが、なかなか安く入手できなかったので新刊で購入してしまった。それなのにそのうちに読もうと思って棚に差しておいたら、その気にならないので手にするまでにかなり時間がかかってしまった。そして先日雨の日にやっと読み始めたら短時間で読み終えてしまった。かなり前だったので当時の書評の文章も手元になく忘れてしまっていたが、その時の記憶だけで面白そうだなと思っていたのだろう。店にも伊藤野枝や大杉栄の本が結構あるので、何か新しいものが書かれているのだろうかと期待してしまった。

 それにしても壮絶な人生だと思う。強かにしなやかにと言うか伊藤野枝の生き方がとてもわかりやすく描かれており、引用されている文章からもその人物像がきちんと浮かび上がってくるのでとても理解しやすい。あまり新鮮な内容ではないが、出版当時は話題になったのだろうか。タイトルはかなり攻撃的だなと思う。筆者の文章は新しい書き方なのだろうか。若者向けの雑誌などに寄稿しているようだ。ひらがなが多いので自分にはとても読みにくかった。難しい漢字ばかりでも読めなくて疲れてしまうだろうが、ひらがなが多いのにこんなに読みにくいという経験はなかった。おまけに汚い言葉が多くて読後感があまり良いものではなかった。もったいない。「村に火をつけ、白痴になれ」栗原康(岩波書店)

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2017年

4月

07日

古本派

 暇な時間に好きな古書店のウエブサイトをよく眺めている。最近朝日新聞の日曜版に古本屋についてのアンケート記事が掲載されたようで、その内容にすぐ反応した文章が見られた。朝日新聞は読んでいなかったので意味がよくわからなかった。そこでネット登録して読んでみたが、それほど気になる内容ではなかったような気がする。しかし、一生懸命店を経営している人にとっては批判されているような気がしたのかも知れないと思った。古本派という言葉は古くて面白い。

 そのアンケートは、全国2000人弱の回答で、良くある数字のような気がする。大体政治関係の世論調査でも全国レベルで2000人に達しない調査結果がほとんどであり、それで支持率を気にしている訳だ。その調査結果では、古本を買う人は、32パーセントで571人となる。記事の中でいくつか紹介されているコメントも、良くも悪くも当然想定される内容であった。古本は安くて手軽で捨てやすいもの、古本屋に求められているのは充実した品揃えと偶然の出会いとなっている。また古本を買わない人は図書館を多くが利用しているようだ。矛盾しているのは、古本を嫌う理由に汚れや他人が使った本は嫌という所だろうか。図書館の本こそ数え切れない人の手に渡って読まれているのだろうと思うのだが。

 興味深い数字は、電子書籍を利用している人が、16パーセントで286人いることである。これは果たして多いのか少ないのか、どう見たらいいのだろうか。書店には相変わらず多くの人が見られる。先日出かけた古本市にもけっこう人がいた。自分も電子書籍で本を読んでみたが、今では端末も置いてあるだけで読んでいない。

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