2018年

11月

24日

最近買った本の本

 どうも本や書店がブームになっているようで雑誌の特集などが組まれることが多い。そしてつい買ってしまうことがあるので困ってしまう。取り上げられているのは若い人が始めたお洒落な小さい店が中心だ。カフェやギャラリーなどもあったり昔の古本屋などとは随分とイメージは違っている。新しく店が出来たと聞くとたまには出かけてみるが並んでいる本も綺麗な本が多い。思わぬ本があったりしてつい買ってしまう。それにしては店の近くにある昔からの古本屋は閉店する所もあって過渡期なのかなと思うこともある。

 最近読んだ本の本は近くの大きな書店で棚にいっぱい並んでいたのでいつか読むかもしれないと思って買ったものである。一つは写真がいっぱい入っているので読むのはそんなに苦労しなかったが本の話にしてはなかなか読み進めなかった。外国の本の行商人の話だが前の半分ほどがほとんど導入部のようでその成果も知れない。思えば小さい頃に祭りの屋台で雑誌の付録などを古本で売っているのをよく買った記憶がある。戸板に並べられた古本は懐かしく思い出す。もう一冊は本のミニコミ誌に連載されていた漫画である。あれば面白いが屋台で本を読ませる話である。残念ながら連載されていた雑誌を出していた人が亡くなってしまった。当然連載も終わったが単行本で出されたのでもう一度読んでみようと思い買ったしまった。

 どちらも本が娯楽媒体としてだけでなく文化として在ったと言うことなのかも知れないと思った。いま新しい本屋もそんなものを背負っているのかも知れないとも思う。「モンテレッジオ小さな村の旅する本屋の物語」内田洋子(方丈社)、「古本屋台」QBB(集英社)

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2018年

11月

10日

哀しい詩集

 毎年年末になると詩の同人誌を出している。決まっている訳ではなく何となく切羽詰まった焦りのような感情から出すような感じでこの時期になっている。実は長年詩のようなものを書いてきた。その理由は単純なもので十代の時に教えを受けた教師に褒められたからである。最近は書きたいものがあればと言ってきたが今年は特にその意欲が薄れてまだ手につかないでいる。今手元にあるのは私より何歳か年上の女性の詩集である。店では郷土関連の作家の本を収集しているので調べている中で見つけた詩集である。私と同じ故郷に住んでいた人で中学校卒業時に東京に引っ越しているようだ。その高校生の時期に詩を書き始めており、残念なことに高校生活半ばで自殺しているのだ。その約一年間で書かれた詩を父親が詩集として出したものである。女子高生特有の聡明で感傷的な作品の中にその時代を反映するものもある。詩集の跋文を書いているのは詩人の鈴木亨という人である。女子高生の通っていた高校の国語教師と同じ同人誌で活動していた縁で長文の跋文を書いたようである。内容をみると国語教師に宛てた遺書が残されていたようだが、当然のように教師には生徒のことは全く記憶がなかったということである。接点はそれぞれが関わっていた詩の同人誌にあって後にそういうことだったのかと納得することになる。十代の頃に詩を書き始める人は多いだろうが、そのまま詩を書き続けて詩人になる人はほとんどいないだろう。だがこの時期に書かれた作品には何故か心惹かれるものがある。「赤い木馬」小池玲子(黄土社)

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