2017年

3月

23日

探求本

 毎年のことではあるが、もう何十年と花粉症なので毎年この時期は悩まされている。今一番困るのは眠いということだ。夜明け方にくしゃみを連発して、結局睡眠不足になるので昼間に眠くて仕方がないという状態になる。もう毎年のことなので薬も飲まないし、ただひたすら我慢しているのだが辛い。今もそんな時間を過ごしているのでパソコンに逃げ込んでしまった。ほとんどお客さんが来ないので仕方ない。こんな店でも開けているとたまにはお客さんが入ってくるので現状では自分のやりたいことをしながらただ待っている。

 先日は初めてのおお客さんがスマホを片手に入ってきて画面を見せると「この本を探している」と言われた。とりあえず一週間の猶予をもらって色々なルートで探してみたが見つからない。後は時間をかけて偶然の出会いを待つしかないという状態である。それにしてもどうしてお客さんは無い本ばかりを注文するのだろうか。もしかしたらここにはあるかもしれないと期待してくるのなら少し嬉しいが無いものは無い。ここにある本を読んで我慢してくれないものかと思う。

 個人的には何十年もかけて雑誌の連載を集めたことがある。本当に何年もかかったが、すべて集めることができたので、できるものだなと自分に感心してしまう。色々な努力や偶然があったので、店をやっていることもその一つなのかもしれないと思う。今も何件かの探求本を抱えており、リストを持って探し続けている。探求本の受付をしているので探している本があれば連絡をしてもらえれば時間をかけて探し出します。

0 コメント

2017年

3月

17日

本の本、新しい本屋

 再度本の本を読んでいる。次々と本が出されているからつい読んでしまう。最近の状況を考えて古本屋が流行しているのかと思っていたが、それだけではなく新刊を扱う本屋も増えてきているのだ。紹介されているいくつかの店には見学に行ってみたが、確かに本屋であることには間違いない。古本と新刊本を置いている店、本とカフェや酒屋を併設している店、ギャラリーがあり、イベントを開催している店、本と本以外のものを売る店、本を出版する本屋、様々な形態があり、本を取り巻く環境が拡大している。所謂実店舗は総体的にそう大きな所は無いが、店を持たない本屋もあり、中には本を販売しない本屋もあるのだ。電子書籍やネットでのブログ連載、エアー本屋というものまで、全国的には小売りの書店の数は減少しており、大型書店に集約されていく中でこのような趣味的な本屋が少しずつ出てきている。

 今回読んだのは三冊。一つは大手の書店員から個人の本屋を始めた人の開業の様子を記録した本、もう一つはUターンして地方の書店が街づくりに関わって頑張っているもの、最後は本屋とバ―を併設、家具も売る店をやり、本の世界の可能性について触れた本である。それぞれに自分の生い立ちから現在の様子まで書かれているので、どんな人がこういう本屋をやっているのかが理解できる。面白い、遊んでいるとは言わないが、楽しんでいるなとは思う。共通しているのは自分がセレクトした本を並べている事だろうか。それを商売として成立させているのが羨ましい限りである。六年ほど前から自分より若い人達がこうして自分の生き方を変えてきているのを感じる。昔ほど会社依存人間はいなくなり、自分の好きなことを仕事にしていくことを選んでいるような気がする。さらに半世紀ほど昔に戻っているのだろうか。もしかしたらここから社会が少しでも変わっていくのならそれも良いかなと思う。「本屋はじめました」辻山良雄(苦楽堂)、ローカルブックストアである福岡ブックスキューブリック」大井実(晶文社)、「本の逆襲」内沼晋太郎(朝日出版社)

0 コメント

2017年

3月

09日

食べるということ

 昨年の秋頃より胃の調子が何となくおもわしくなく、今年になってついに病院に行ってきた。しかし、特に異常は見つからず、結局老化現象ということに落ち着いてしまった。以後、体重は減ったまま推移しているが、毎日体重計で計測している。血圧も同様に測っているのだが、ほとんど変化が無いのでもう飽きてしまった。要するに老化とは胃腸の委縮により、食が細くなるということのようだ。美味しいものを食べたいとかという欲求もないので量が少なくて済むのならその方が良い。死ぬまで食べ続けなければいけないのだから食費が少なくなるのは歓迎する。

 以前にこの人の「ナチスドイツの有機農業」という本を読んだ。ドイツの食糧政策の歴史が系譜的に書かれており、とても面白く読んだ。その後に内容で触れられていたいくつかの本も読んでみた。今度は食に関するエッセイ集である。TPPから原発からと様々な面から書かれており、これも面白かった。個人的には最後の牛乳について書かれた所が勉強になった。今回も色々な本が紹介されているので入手できるものは購入して順番待ちをしている。所謂ひとり出版社である所から出されているもので応援したい。でもすごい社名だ。「食べること考えること」藤原辰史(共和国)

0 コメント

2017年

3月

02日

情報のワナワナ

 もうすでに本の世界は「騎士団長殺し」の話題に入っているのだろうが、やっと芥川賞を受賞した「しんせかい」を読み終わった。合わせて「文学界」の芥川賞特集を読んでみた。こちらには「スクラップ・ビルド」の羽田圭介氏と「コンビニ人間」の村田沙耶香氏の対談、「火花」の又吉直樹氏の第二作についての文、「しんせかい」の山下澄人氏のインタビューなどが掲載されている。久しぶりなのか初めてなのかという位に買った。芥川賞受賞作品は前回同様に雑誌「文芸春秋」で読んだのだが、もうすでに書店の店頭には受賞作品が単行本となり一緒に並んでいた。しかし、受賞作とは言っても昔ほど売れると言うことではないのかも知れない。書店には何日も平積みされている。その反面、書店には探している本が相変わらず在庫なしという状態であり、書店側も大変だろうなと思う。村上春樹氏の新刊本もかなり平積みされ、すでに古本でも販売されている。こういう無自覚な本を巡る状態は何とかしてほしいと本当に思う。

 山下澄人氏の作品は「しんせかい」が初めてなので、他の作品との比較が出来ない。随分と読みやすいので読み始めたらすぐに読み終えてしまった。内容もすんなりと入ってきてそのまま出て行ってしまった。何も残らないという訳ではないが、テレビの青春ドラマを見ているような印象だった。インタビューなどを読むと他の作品はかなり難解なものらしい。読みやすいものが受賞したという結果のようだ。倉本聡氏の富良野塾に在籍した時のことを書いたということで話題になっているので想像して貰えるのではないか。以前には受賞作品はあまり読まなかったが、ここ何回か読んでみた。芥川賞は年二回選考されるのだと言う。一回で良いのではないかと思うが本が売れないからなのだろうか。そのせいなのかはわからないが、隣の子供が芸能人になったように随分と身近になったような気がする。

0 コメント