2021年

11月

12日

自著を語るということ

家の中に本が少しずつ積み上げられていく。店が無くなって自分の蔵書だけになったのだが倉庫に置くとすぐに見られないので自分の部屋に置いている。そこに新たに買った本が一緒になって積み上がって行く事になるのでだんだんと身の周りが狭くなってしまうのだ。でもすぐに本を手に取って見られるという便利さは良いことだと思う。そして読み終えたのは「哲学者内山節の世界」という本である。憶えていないのだがどうも古本ではないようだ。最近よく新刊で買うので出たばかりの本かも知れない。読もうと思って次々と積み上げているので手が届く範囲で読み始めてしまう。内山氏の著作集全15巻が出たのでその紹介的な本なのかも知れない。最初の部分は内山氏が自分の出した本について書いたものである。これが面白いのでしばらく読み進めてしまった。店にも何冊かは集めて置いていたのだが今は売り払ってしまったのでおそらく一冊も残ってはいないと思う。著作集もいまさらという気がするがこの自著を語る文章が面白いのでまた読んでみたくなってしまった。ということで何冊かチェックして書き抜いて置いた。買うことになるのでしょうか。

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2021年

10月

03日

最近よく目にする本

若松英輔氏、内田樹両氏の名前をよく書店で見かけるようになった。おそらくそれだけ多くの本が出されているのではないかと思われる。どちらの人もお客さんから教えてもらった人である。今日も書店の棚を眺めていたら若松氏の新刊が置いてあった。読みやすいのでパラパラとページをめくっていたら、「詩と出会う」という見出しで書かれたタクシーの運転手の話が目についた。これが面白い。若松氏が詩人の大手拓次氏の展覧会を見に出かけ、駅からタクシーを使ってのエピソードである。「もう少し話したいことがあるんです」と運転手はメーターを止めて待っているというのだ。そして展覧会を見終って待っていたタクシーに乗り込んだ後の会話が良かった。こんな風に詩人は「詩と出会う」ことがあるのかと感心した。もしかしたらそんな場面をどこかで経験しただろうかと記憶を辿っても残念ながら思い出すようなことはなかった。

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2021年

9月

12日

続・倉庫通信

梅雨から夏の暑さへと変わり今はもう涼しく感じられる日も出てきた。小川町に運んだ本は知り合いに持っていってもらったり古本屋に引き取ってもらったりと全て無くなりました。残った荷物も少しずつ自宅の倉庫に運んで少なくなった。それでもまだ最後の荷物がそのままになっているので全ての手続きが終わった訳ではない。本棚も知り合いが少しは持って行ったので少なくなっているが自宅の倉庫も片付いていないのでもう少し時間がかかりそうである。

店は無くなっても古本の買い取り希望はあるのでこれも対応している。集まった本は貸棚などを使ってあふたーゆの棚を作りたいとも考えている。どこかに無料で置かせてくれるところがあればいいのだがそんなうまい話がある訳ではないので色々な方法を探っている。店の閉店のお知らせを知り合いなどに送っているのだがまだ全部に済ませられないでいる。したがって店が閉まっているのだがどうなっているのかという連絡があったりという失礼をしている。この何年かの店での知り合いや関係者に少しは期待されていたと思うと有難いことだ。もう一度という思いもあったのだが急な話だったために一気に終わってしまったので自分でも淋しい部分がある。これらの片付けが終わればまた何かできる余裕が生れるかも知れないので期待しようか。

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2021年

8月

14日

倉庫通信

8月から小川町の倉庫に移り本の片付けをしている。当初に段ボールに詰めた本がまだ残っているのでこれを処分するのが今の仕事である。委託という形で預かっていた本などは返品の作業をしている所だ。集めた郷土関係の本はどこかに寄贈したいのだが今は図書館もあまり歓迎されないしどうしたものかと思っている。詩集なども古本屋ではあまり歓迎される本ではないのでこれも難しい。個人あてにいただいた本なども処分する訳にもいかない。死ねばゴミとして誰かが捨ててくるだろうが困ったものだ。皆さんこうして悩んだ挙句に店に持ってきたのだろうと思う。

お盆で町の中も静かな感じがする。休んでいる店もあるがコロナウイルスの影響もあるのだろう。しかしこのウイルスは強力であっという間に全世界に流行してしまった。何故こうなったのかを考えないなら強力な武器として機能した。テレビのニュースを見ているとそう感じる。こんなタイミングで店を閉めたのでコロナでは仕方ないねという反応が多かった。約二か月間で慌ただしい状態のまま動いていたが長い梅雨でイライラすることが多かった。そしてこれはまだ続いているのだ。

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2021年

6月

08日

店の営業を終わります

昨年の暮れから少しずつ本の整理をしてきたのですが、新年度になって新展開となりました。そろそろ店を閉めようかと考えていたら、丁度大家さんからも同様の話を貰って一気に閉店という流れになりました。さらに次の入居者が見つかって流れが加速して今は片付けに入っています。本の整理は本当に大変な作業なので、店は今月から閉めて日々整理を続けています。店で売るほどの本がある訳ですので一気にゼロにするのも大変です。取り敢えず倉庫を借りました。そこに保管してから先はまだ未定ですが、少しずつ集めてきた郷土の資料本などを使って何かできないか考えています。それにしても高齢になっての試みですのでどうなるのかはわかりません。同人誌の発行は継続していますし、出版のお手伝いも継続しますので、店での営業は無くなりますが情報はこのままお伝えしていきます。

 

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2021年

5月

09日

やはり駄目でした

毎月商店会と町内会の両方から来る市の広報紙を見て折角の機会だから応募してみようと思ったのだが残念ながら落選となった。新年度から募集していた市の審議会の委員である。いくつかの委員会の委員を募集していたのだが文化芸術推進審議会だったろうか。落選したので結果の通知も応募書類も捨ててしまったので忘れてしまった。折角と云うのは以前に市の文化施設の運営にも応募した経過があることと現在の店の資料として収集している郷土関係の本があることである。市の図書館に郷土関係者の資料コーナーがあるがこれがあまりいい展示だとは思えなかったことと、故人の関係者から市に寄贈された高田博厚氏の作品や蔵書が生かされていないと感じたからでもある。結果は想定以上の多数の応募がありと書かれていたが私のようなものでは無理なのかなとは思っていた。経歴は書く欄が無かったし小論文も立派なことは書けなかったので当然かも知れない。今市内の商店街もあまり活発ではないしコロナのせいでイベントも行われていない状況の中で、何か生かせるものがあるなら有効に活用してと思ったのだが残念でした。テレビのドラマで当地の宣伝でも行われる方がいいのかも知れないが、貴重な財産を生かして市に文化芸術関係の取り組みが行われることを望んでいる。大体こんな感じの審議委員などは有力団体の推薦する人か市が望むような人材が選ばれるのであるが今回は誰が選ばれたのか知りたい。

2021年

3月

17日

再びマンガを読む

店にはマンガの本は置いていない。評論は置いているがそれも最近になって置きだした。現在店の中を整理しているのだが本も少なくなってきたので棚が空いてきたので埋めるように置いているのだ。マンガ作品もほとんど放出し最近買ったものや貰ったものが残っているだけになっている。それを家に持ち帰り再度読んでみた。懐かしいので時間をかけて読むがこの後はまた整理することになるかも知れない。神村篤作品を思い出すように読んでみた。やはり最初に雑誌の入選作として掲載された作品が一番良かったような気がする。人間がつくったロボットが人間の言うことも聞かなくなるという話である。自らの意志を持つ機械が現れる背景として現状に対して不自然なことが行われるということがある。そこから混乱して制御できなくなるということになる。人間に対して忠実な筈の機械が人間に反抗することを描き社会の中の醜い部分を表現しているのだなと再認識した。初期の作品と現在の作品を比較すると彼の向かっている先は自分の内面に向かっているようにも見える。「暖かい日陰に」神村篤(青林工藝社)

2021年

3月

11日

懐かしい思い出

新型コロナウイルスの流行は変異株の再流行などでまったく衰えを見せることがない。しかしテレビを見ていると通勤客の数は減ることなく休日の混雑ぶりも同様に減ることが無い。これでは何も変わらないような気がする。緊急事態宣言は意味もなく昨年の今頃のような緊張感はこちらもまったく感じられない。店を営業している人にとっては何ともやりきれない思いだろう。当店はすでに看板もしまってしまい営業している気配もないままだ。

そんな状態なので仕入れと称して色々な店を見に出かけることもやめてしまった。おまけに最近はやる気もなくなってしまい店の本を減らしている。売る本がなくなればそこまでだが今までにため込んだ本がかなりあるのでまだ続けていられる。最近は好きな本をネットで買っているので棚は少しずつ入れ替わっている。問題はかかる費用が高くなってしまうことだろうか。それでも先日は何とも懐かしい本に出会えた。ネットで買うとどんな本なのかがよくわからにまま注文することが多いのだが大体このようなものというイメージは掴める。

さて届いた本はそれなりに日焼けしていかにも古本であった。開くといきなりガリ版刷りのペーパーが入っていた。これは懐かしい昔の感覚を思い出した。しかも救援センターという連絡先になっている。そういえば以前に別の同人誌でこの人の名前を知っている。その時はあまり心に残っていなかったが今回読んでみて懐かしく思い出した。そういえば昔はこんな詩集をつくって配っていたのだ。薄い冊子だったのでじっくりと読んだ。「詩集白い花」秋山清(コスモス社)

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2021年

3月

06日

緊急事態宣言の延長について

新型コロナウイルスの感染流行が長引いている。今年になって昨年同様の緊急事態宣言が延長された状態になっていたが今回再度宣言が延長された。すでにこんな状態が一年以上も続いていることになるのだが生活が全く変わらない。国としての対策の効果が出ていないし打つ手がないと言った状態である。したがってただ自粛生活だけが続いている。この間店には来ているが看板も出さずただ留守番をしているような状態である。商売上の支援もある訳ではなく定額給付金などもない。今までも商店街が寂れてきているといったことが言われていたのだが飲み屋街である店の近辺も何だか淋しい状態になっている。スナックなどで弁当のテイクアウトの看板が出ているがそれで今までのような売る上げが出る筈もない。何の展望もなく日々を過ごしているような状態が続いている。このような中で新聞を見ていると各自治体のウイルスの感染者の数が累計で確実に少しずつ増えていることがわかる。県内の一覧を見ているとじっくりと各地で数だけが増えていくのだ。当然マイナスになることは無いのでただ増えていくのをカウントしているだけなので実に不気味な感じだ。何だかじわじわと周囲を囲まれているような気になってくる。おそらくこの後も感染者の数が増えたり減ったりを繰り返していくのだろう。このような状況では店を閉めるところも出てくるだろう。すでに今年になってずっと同じような日が続いている。特にやることもないので店の中を整理して今までに溜まった本少しずつ整理している。おかげで何だか店が広くなったような気がする。

2021年

2月

19日

すごいパワー

昨日知り合いのツイッターを見ていたら漫画雑誌に好きな漫画家の作品が掲載されていることに気が付いた。早速帰りがけにコンビニで買おうと思ったら何と売っていない。売り切れたのかと思ってもう一軒寄ってみたがやはりなかった。仕方なくスーパー内の書店に行くが無い。まだ並んでいないのか売り切れたのか分からないが諦めて家の近くのコンビニに寄ってみた。するとそこにはしっかりと二冊あるではないか。店に寄って新聞や雑誌の配本が違うのかも知れないが取り敢えず変えたので良かった。しかし何とその作品は集中連載第二話であった。そろそろ作品が掲載されるのではないかと思って実は定期的にチェックしていたのだ。それなのにすでに昨年の内に第一話が掲載されていたことになる。全く気が付かなかったのが残念だ。また何か考えてその雑誌を探さなければならない。全く偶然に作家の特集本を最近再度読み直していた。私生活をあまり感じさせない人なのだがとにかく寡作なので逸次回作が読めるのか分からない。その本の中の文章でそろそろ発表されるのではないかと想像していたのだがやはり作品を描いていたのだった。読むことができなかった第一話の内容も語られているのでストーリーはある程度分かるのだがやはり見てみたいものだ。それにしても朧げに判断できる作者のことを考えると作品に賭ける情熱は凄いと思う。すでに70歳は超えていると思うのだが作品を描くエネルギーはどこから来るのだろうかと感心してしまう。経歴を見るとマンガを描きたくて芸大を浪人して合格したのちに大学院まで生きながら本当に数少ない作品を発表し続けているのだ。加えて今描いている作品はまだ途中までしか書かれていないのだ。果たして完成するのだろうか。絵が魅力的な人なのでその画力が衰えていない事にも驚いてしまう。「鼻紙写楽」一ノ関圭(小学館)

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2021年

2月

04日

切れ味が良い文章

音楽家の坂本龍一氏のお父さんのことを書いた本を入手した。書いたのは出版社の部下である田邊園子という人である。龍一氏に頼まれて生存中に父のことを書いて欲しいということだったという。戦争体験者で仕事では部下に厳しい人だったようで作家からもそのような目で見られていたようだ。本人が校正したということだが人柄が面白くて一気に読み終えてしまった。簡潔な文章で編集者がここまで書いていいのだろうかと心配するようなことも書かれているのだが読後感がすっきりしているのでそんな心配もないのだろう。後記を読むと本人のエッセイ集も出ているようなので探して取り寄せた。それほど高い本ではなかったのですぐに入手できた。こちらは作家についての編集者としての文章である。それぞれが短いのですぐに何篇かを読み進めていくうちに面白くてこれも早く読み終えた。丁寧で上品な文章だが皆さん有名な作家である。ここまで深く描いてしまっていいのだろうかとこちらも心配になってくる。情景描写が上手で色々な場面が想像できて面白い。内容は少し鼻につく部分もあるのだがそれを超えて魅力がある。序文を植谷雄高氏が書いているのだが慎重な文章になっているのも面白く読んだ。「伝説の編集者坂本一亀とその時代」「女の夢男の夢」田邊園子(作品社)

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2021年

1月

15日

社会的事業と新公共スタイル8

昨年の12月臨時国会で労働者協同組合法が成立した。その前から新聞などで特集が組まれていたのであるいは成立するのかも知れないと思っていた。法律そのものはまだざっと一読しただけなのだが130条以上の長い条文なのでなかなか理解は簡単ではなさそうだ。現在は厚生労働省のホームページでその内容が見られるだけだが今後は詳細が決められていくのだろう。実際にこの法律の運用についてはまだそれらを待たなくてはならない。前の会社にいた時にこの法律の制定に向けて運動をしていた訳なのだがこうして実際に法律が制定されるとこれからどうしたらいいのかと考えてしまう。具体的には法律の制定後にはこれを活用して何か新しい事業が出来るのだはないかと思っていた。だが以前の会社の主なメンバーもそうだが皆高齢化しており自分たちでやるのには無理があるような気がする。そうなると実際に働く人たちを中心とした若い人たちで起業しなくてはならない。今から二年間の間に法律の詳細が決定して運用が開始されることになるとそこから先の話なのでますます時間が無いという感じになってしまう。当時からはすでに10年以上も経過してしまって運動の初めからは30年以上も過ぎてしまっているのだ。NPO法が出来た時もそれなりの時間がかかってやっと成立したという気がするが今はかなりの数の法人がつくられ活躍している。そういった意味ではこれからの経過を見守っていく必要があるのだが残念ながら少し歳をとりすぎてしまったようだ。法的には似たような法人格もできておりすでにそれらを活用している団体もある。ここからさらにもう少し待たなくてはならないのかも知れないが少しずつでも学習を進めていかなくてはと思っている。

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2021年

1月

06日

新年を迎えて

新型コロナウイルスの流行から一年を過ぎて新年を迎えたが実態としては何も変わっていないような気がする。年末の感染者は何と増えるばかりで一向に収束する気配がない。昨年の春からは店も営業を自粛して夏までにはそれなりの成果があったのかと思った。しかし夏以降の緊急事態宣言の解除に従って行われた施策は経済政策が中心でじりじりと感染者は増え続けてきた。古本屋も店を閉店するところもありその形態を変えてきているようだ。定年退職以後のささやかな古本屋の夢もその影響下にありこれからどうしようかと思案する事態になっている。もともとお客さんが来る店ではなかったが果たしてこのままでいいのかどうか悩み続けている。この一年間で何も変わらないというのがその大きな要因だと思う。それではこれからどうしたらいいのかという答えもなくただ日々を過ごしているだけになってしまった。この年末年始はひたすら本を読んだだけだった。何しろこれからの残された時間で読み切れないだけの本が店に並んでいるのだから読み終えてしまうことはない。年が明けてもそんな生活が続いている。ニュースではまた緊急事態宣言をするようなことを言っているのでしばらくはこのままの生活が続くのかも知れない。

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