2018年

2月

24日

偶然に見たのだが

 昨年の暮れだったかNHKテレビの朝の番組で書家というのか画家なのかよくわからないが篠田桃紅という人の出演しているのを見たことがあった。その日に知り合いのツイッターでも書かれていたのでやはり見ていたのだろう。ぼけーつとインタビューに答えていた姿をみていたらあまりに受け答えがしっかりしているので驚いてしまった。何と103歳なのである。アナウンサーも女性だったがその凛とした受け答えと語られた生き様に圧倒されるものを感じた。その書は安西均氏詩集の表紙で見たことがあった。一番驚いた言葉は「一本の線をずっと書いてみたい」と言うものだった。要するに書けるのなら一筆で行ける所まで線を引いていきたいということなのだ。100歳を超えてもしっかりした言葉で自分の意見を述べているのを見て知り合いの人は「老化とは何なのか」と書きこんでいた。今も書いている書がとても年齢を感じさせない強さと自由を感じる。すごい人だなと思って本を購入して読んでみた。100歳を数えたら当然戦争も経験しているし、決して豊かな生活でもなく結婚しない女性としての大変な人生だったのではないだろうかと想像したが、その内容は実に淡々としたものが書かれている。瀬戸内寂聴氏も90歳を過ぎて死ねない気持ちを書かれているがちょっと想像も出来ない。「103歳になってわかったこと」篠田桃紅(幻冬舎)写真は図録から紹介。

0 コメント

2018年

2月

10日

意外な展開

 

 以前に「江戸の非人頭車善七」というこの人の本を読んだことがある。その経過は漫画「カムイ伝」だったが、同時に「浅草弾左衛門」と言う名前もその中には出てきていた。それについては同じ筆者から厚い本が出されているがまだ読んでいない。時々古本屋で立派なその本を見かけることがあるがなかなか買えないでいる。今回は差別問題としてではなくセクハラ問題と言葉としての差別表現が気になっていたので読むことにした。中で取り上げられているのは筒井康隆氏の昔の作品である「無人警察」という作品とてんかん協会との関係、筒井氏の断筆宣言についてなどである。それらの経過と意見が本人はあまり関わりたくないというニュアンスだったが、丁寧に書かれているのでとてもわかりやすい。教科書検閲やマスコミの規制についても触れられているが、特に興味深かったのは夏目漱石の「坊っちゃん」や水俣病についての部分だった。今はケイタイ小説などがあり、ネットが普及してSMSなどで様々な情報が氾濫している状況の中で表現の難しさがどこまで認識されているのかどうか考えてしまう。「作家と差別語」塩見鮮一郎(明石書店)

0 コメント

2018年

2月

02日

定年後をどう生きるのか

 近くの地方百貨店に開店した大手書店の棚構成はなかなか頑張っているという感じがする。お客さんはやはり高齢者と買い物ついでの女性なのだが書店としての本棚をきちんと崩さないで作っている。最近は文庫の値段が高くてなかなか新刊では買う気にならないのだが気にすることなく文庫が立派に並べられている。いつも気にしている訳ではないがあまりお客さんは増えていないような気がするのでこれからどうなるのかと心配もしている。自分としては雑誌をもう少し頑張ってくれればこの書店があることは良いことだと思っている。頑張って色々な特集やフェアを開催しているが多いのが高齢者向けの企画であるということである。それにしても今のままだとやがては人口の半分が高齢者という時代になってくる。要するに働かない人が増えてくることになるのだ。そんな人生後半をどのように生きるのかと言う本がやたらと多い。貯金や保険や年金についての知識や趣味や地域における活動の参加についてなど同じような本が次々と作られている。先日地域の仲間たちの話し合いにおいて年取ったら田舎には住めないというのがあった。あるいは住めなくなると言った所かも知れない。定年になったら田舎暮らしをしてのんびりと老後を過ごすというのは誰もが考えることだ。でも車がないと何処にも行けないので病院にいくのも買物にいくのも難しくなる。まず免許を返納しなさいと言われるのだから生活そのものが成立しなくなる。今回みたいな大雪でも降ったら何処にも行けないばかりか家から出られない生活になってしまうのだ。そんなことが現実的な問題としてあることがよくわかる。今日もまず家の前の雪を何とか片づけてそれから危険な道路を走りながらやってきた。

0 コメント